23日の米株式市場ではNYダウが続落し、125ドル安となった。アジア・欧州株が全面安となった流れを引き継いだほか、建機のキャタピラーなど主要企業の決算が嫌気されて一時500ドルを超える下落となったものの、引けにかけて買い戻しが入り下げ幅を縮小した。日経平均は前日に600円を超える大幅安となっていただけに、本日はNYダウの下げ渋りによる自律反発に期待した買いが先行し、156円高からスタートした。しかし、金融市場全体に広がる不安定感から買いの勢いは続かず、日経平均は朝方に一時181円高まで上げ幅を広げたものの、その後伸び悩む展開となった。動向が注目される中国・上海総合指数の反発も鈍く、日経平均は前場中ごろから度々マイナスに転じる場面があった。
個別では、任天堂<7974>、ソニー<6758>、東エレク<8035>などが軟調。コマツ<6301>は同業キャタピラーの株価急落が波及して4%超安、上期業績を下方修正したSUBARU<7270>は5%超安。レーティング引き下げ観測のSUMCO<3436>は9%超安と急落した。その他では東海カーボ<5301>、信越化<4063>、昭電工<4004>などの下げが目立った。一方、ファーストリテ<9983>やソフトバンクG<9984>が堅調で日経平均の下支えとなった。トヨタ自<7203>は小幅に上昇。決算が注目された日本電産<6594>は朝方に一時5%を超える上昇となったものの、その後上げ幅を縮めた。通期業績予想を上方修正した東製鉄<5423>は6%超高で前場の取引を終えている。セクターでは、鉱業、石油・石炭製品、ガラス・土石製品などが下落率上位。半面、水産・農林業、ゴム製品、食料品が上昇率上位だった。市況関連株が売られる一方、内需・ディフェンシブ関連株に資金が向かった。
米国株が引けにかけて下げ渋ったことで東京市場では買い戻しが先行したものの、外部環境の不透明要因が多いなかでは追随する動きは限定的だった。NYダウの乱高下を見ると、金融市場が落ち着きを取り戻したとは言いづらい。注目された日本電産の上期決算は市場予想並みの増益を確保し、朝方こそ再評価の買いが入ったものの、その後伸び悩んだ。投資家のセンチメント改善にはつながらなかったと言わざるを得ない。
前日の東証空売り比率は50.8%と過去最高を更新している。長期視点の買い手不在という状況下では、短期筋による売買に大きく振らされる相場展開が続きそうだ。なお、本日は花王<4452>、中外薬<4519>などが決算発表を予定している。事前の期待は高まりづらいが、発表後に再評価の動きが出てくるか注目したい。
(小林大純)
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