21日の米国市場でNYダウは8日続落し、196ドル安となった。米中貿易摩擦への懸念やイタリア政局不安を受けて欧州株が全面安となり、米国株にも売りが先行。米経済指標の予想下振れや原油価格の下落も嫌気された。円相場は朝方、1ドル=109.90円近辺と前日より円高方向に振れており、本日の日経平均はこうした流れを受けて236円安からスタートした。寄り付き後は為替の円高一服などから売り込まれる流れとはならなかったが、安値圏でもみ合う場面が続いた。
個別では、トヨタ自<7203>やSUBARU<7270>が2%超下落するなど自動車株が安い。
独ダイムラーが米中貿易摩擦の影響から利益見通しを下方修正し、米国市場でもゼネラル・モーターズなどの自動車株が売られていた。同様に米国市場で半導体関連株が下落したことを受けてSUMCO<3436>は3%超安となった。指数寄与度の大きい銘柄ではソフトバンクG<9984>が3%近い下落。その他売買代金上位では、三菱UFJ<8306>などのメガバンク株やファーストリテ<9983>、武田薬<4502>、ファナック<6954>などが軟調だった。一方、任天堂<7974>、JT<2914>、ソニー<6758>などは小じっかり。一部証券会社のレーティング引き上げが観測された昭電工<4004>が4%近く上昇し、東海カーボ<5301>などにも買いが波及したようだ。LINE<3938>は8%近く上昇した。セクターでは、輸送用機器、海運業、パルプ・紙が下落率上位で、その他も全般軟調。水産・農林業のみ小幅ながらプラスを確保した。内需・ディフェンシブセクターが底堅さを見せている。
日経平均はここ2日とも陽線を付けており、本日も軟調推移ながら5日移動平均線水準まで戻りを試す場面が見られ、底堅さが意識されそうではある。外部環境の不透明感に対する警戒感が根強い一方で、投資家は「まだ買える株」を求め、足元では業績堅調な内需・ディフェンシブ系銘柄への資金流入が続く。日銀による上場投資信託(ETF)買い入れも値がさ株を支える。
しかし、一部の値がさ株が日経平均を支える構図には違和感もある。株価位置やバリュエーション水準を考慮すると、内需・ディフェンシブ系銘柄も持続可能な株価上昇かどうか慎重に見極める必要があるように思われる。主力の自動車株や金融株は軟調な展開を強いられており、本格的な相場の持ち直しにはなお時間を要するだろう。中小型株の一角がレーティング引き上げや提携などのリリースを受けて値を飛ばしており、当面はこうした銘柄に物色が向かいやすいと考えられる。
(小林大純)
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