18日の米株式市場でNYダウは4日ぶりに反落し、119ドル安となった。週間の新規失業保険申請件数が市場予想を上回り、長期金利が高水準で推移していることも重しとなった。ただ、追加経済対策への期待は根強く、朝方に300ドル超下落した後は下げ渋った。本日の日経平均も米国株が下落した流れを引き継いで265円安からスタート。寄り付き後は半導体関連株を中心に買いが入り下げ渋る場面もあったが、NYダウ先物の時間外取引での下落やアジア株の軟調な出足を受けて再び弱含み、前引けにかけて一時29913.49円(322.60円安)まで下落した。
個別では、ファーストリテ<9983>が3%近い下落となり、1銘柄で日経平均を約113円押し下げている。朝方には取引時間中の上場来高値を連日で更新したが、今週に入ってからの上昇ピッチが急だっただけに利益確定売りが出ているようだ。任天堂<7974>
も軟調で、ソフトバンクG<9984>やソニー<6758>は小安い。また、ビットコイン価格の急騰とともに買われてきた関連銘柄の下げが目立ち、セレス<3696>などが東証1部下落率上位に顔を出している。一方、東エレク<8035>、村田製<6981>、レーザーテック<
6920>といったハイテク株が逆行高。半導体関連は米アプライド・マテリアルズの決算内容が好感されているようだ。太平洋セメ<5233>はリチウムイオン電池正極材に参入と報じられて4%超の上昇。また、キーパー技研<6036>などが東証1部上昇率上位に顔を出している。
セクターでは、鉱業、空運業、石油・石炭製品などが下落率上位で、その他も全般軟調。上昇したのはパルプ・紙と海運業の2業種のみだった。東証1部の値下がり銘柄は全体の75%、対して値上がり銘柄は21%となっている。
本日の日経平均は節目の3万円を割り込み、前引けにかけて下げ幅を300円超に広げる場面もあった。高値警戒感がくすぶっていたところに米国・アジアなどの海外株安を受け、利益確定の売りが広がっている。東証1部銘柄の7割超が下落しているが、特に前日まで日経平均の下支え役となっていたファーストリテ、それにビットコイン価格の急騰とともに賑わっていた関連銘柄の下げが目立つ。ここまでの東証1部売買代金は1兆2000億円あまりにとどまっており、1日を通じても前日(2兆8854億円)を下回ってくる可能性がある。引き続き利益確定の売りが出る一方、前日までより押し目買いが鈍く、薄商いとなっている印象だ。
米国では週間の新規失業保険申請件数が市場予想を上回り、ペロシ下院議長ら要人の発言も相まって追加経済対策への期待が高まった。これが株式相場を下支えする一方、大規模な財政支出の成立が視野に入って長期金利は高水準で推移しており、警戒ムードも根強いようだ。株式相場への影響について見方は割れており、日米株とも高値圏で売り買いが交錯しやすいだろう。
実際、前日の先物手口を見ると、ゴールドマン・サックス証券が日経平均先物の買い越しトップ、一方でモルガン・スタンレーMUFG証券が売り越しトップだった。前日に述べたとおり、今週に入ってから外資系証券の先物売買に目立った傾きは見られなかったが、ここにきてスタンスの違いが出つつある。
国内勢はやはり高値警戒感から売り目線だろう。東京証券取引所が18日発表した2月第2週(8~12日)の投資部門別売買状況によれば、海外投資家は現物株を3170億円買い越した。一方、投資信託は1288億円、信託銀行は722億円、個人は4119億円の売り越しだった。
日経平均も急ピッチの3万円台回復による過熱感を冷ます動きとなるのはやむを得ないだろう。ただ、前日のNYダウの下げ渋りなどを見ると、海外勢の株買い姿勢が大きく後退したようには思われない。マザーズ市場でも同様の動きは見られる。マザーズ指数は1%近い下落で前場を折り返したが、海外機関投資家が積極的に取引参加しているだろうメルカリ<4385>やフリー<4478>といった時価総額上位銘柄は堅調。また、本日マザーズ市場に新規上場したWACUL<4173>には買いが殺到しており、個人投資家の物色意欲が衰えたわけでもないと考えられる。
こうした動きに支えられ、日経平均は目先、3万円近辺でもみ合う展開になるとみておきたい。
(小林大純)
<AK>
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