9月30日の米株式市場でNYダウは3日ぶりに反発し、96ドル高となった。米財務省報道官が中国企業の米株式市場での上場廃止を検討しているとの報道を否定。また、中国政府が10月の米中高官協議の具体的な日程に言及したほか、同国企業に対して米国産大豆を報復関税なしに購入することを認めたことが伝わり、米中摩擦を巡る懸念が後退した。為替相場は1ドル=108円台前半と円安方向に振れ、本日の日経平均はこうした流れを好感して75円高からスタート。寄り付き後も買い戻し優勢で上げ幅を広げ、前場には21938.77円(182.93円高)まで上昇する場面があった。東証1部の値上がり銘柄は全体の8割ほど、対して値下がり銘柄は1割強となっている。
個別では、任天堂<7974>、ソフトバンクG<9984>、エムスリー<2413>、トヨタ自<7203>、東エレク<8035>などが堅調。ソフトバンクGは出資先の米シェアオフィス大手が上場申請を取り下げると発表している。安川電<6506>が4%超高となるなど中国関連銘柄の上げが目立ち、前日の米アップル株高を引き継いで村田製<6981>や太陽誘電<6976>といった電子部品株も買われた。前日の決算発表銘柄ではしまむら<8227>やアダストリア<2685>が急伸し、パイプドHD<3919>は東証1部上昇率トップとなった。一方、ファーストリテ<9983>はさえない。スマートフォンゲーム「ドラゴンクエストウォーク」の好調で人気となっていたコロプラ<3668>だが、本日は信用取引に関する規制が実施されたこともあり乱高下。前引け時点ではスクエニHD<9684>とともに東証1部下落率上位に顔を出し、ほかにもKLab<3656>などゲーム関連株が上位に目立った。
セクターでは、パルプ・紙、電気・ガス業、証券などが上昇率上位で、その他も全般堅調。下落したのは鉱業のみだった。
米政権が対中投資制限などを検討しているとの報道を受け、週初の東京市場では売りが先行した。しかし、米政府高官がこうした報道を「不正確」と否定し、本日は買い戻し優勢の展開となっている。日経平均は前場途中から上げ幅を広げたが、本日より休場となっている中国株に代わって買い戻されている可能性もありそうだ。中国は国慶節(建国記念日)の連休に入り、上海市場は7日まで休場となる。市場では、こうした場面で日本株が代替的に売買される傾向があるとの指摘も見られる。今週は米中の貿易問題を巡る報道等で株価が大きく振れる可能性があることも念頭に置いておきたい。
ただ、国内では10月に入り消費税率の引き上げがスタート。海外に目を向けても、香港で1日、大規模なデモが呼び掛けられており、米国では4日に9月雇用統計の発表が予定されている。国内外の情勢を見極めたいとの思惑を誘うイベントが多数あり、米中協議の劇的な進展でもない限り、日経平均が節目の22000円水準を明確に上放れる展開は想定しづらいだろう。
(小林大純)
<AK>
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