22日の米株式市場でNYダウは続伸し、49ドル高となった。新型機の運航再開への期待から航空機のボーイングが大きく買われ、決算が市場予想を上回った小売株なども堅調だった。しかし、IHSマークイットが発表した8月製造業購買担当者景気指数(PMI)速報値が節目の50を下回ったうえ、連邦準備制度理事会(FRB)高官から利下げに慎重な姿勢を示す発言が相次ぎ、NYダウはマイナスに転じる場面もあった。ハイテク株比率の高いナスダック総合指数は反落した。本日の日経平均も売りが先行し48円安からスタートしたが、寄り付きをこの日の安値に下げ渋り、プラスに切り返した。円相場が弱含みとなったこと、米株価指数先物が時間外取引で上昇したことを支えに、前場には20703.93円(75.92円高)まで上昇する場面があった。東証1部の値上がり銘柄は全体の5割ほど、対して値下がり銘柄は4割強となっている。
個別では、任天堂<7974>やソニー<6758>が堅調で、ファーストリテ<9983>、トヨタ自<7203>、資生堂<4911>は小じっかり。ニトリHD<9843>や西松屋チェ<7545>は堅調な8月度売上高が好感された。一部証券会社のレーティング引き上げが観測されたユニファミマ<8028>、ユニゾHD<3258>の争奪戦から撤退するとの観測が報じられたH.I.S.<9603>は大きく上昇。また、業績修正を発表した長大<9624>などが東証1部上昇率上位に顔を出した。一方、ソフトバンクG<9984>が小幅に下落し、ZOZO<3092>や村田製<6981>は軟調。太陽誘電<6976>も3%近く下落しており、電子部品株の下げが目立つ。また、このところ値上がりしていた中小型株に利益確定の売りが出て、イーレックス<9517>などが東証1部下落率上位に顔を出した。セクターでは、鉄鋼、パルプ・紙、証券などが上昇率上位。反面、精密機器、鉱業、情報・通信業などが下落率上位だった。
本日の日経平均は寄り付きを安値にプラスへと切り返し、やはり底堅い印象。ただ、米経済シンポジウム(ジャクソンホール会議)でのパウエルFRB議長講演を前に大方の投資家は模様眺めムードで、為替や海外株動向を睨みながらの持ち高調整の売買にとどまっているとみられる。本日ここまでの東証1部売買代金は7800億円ほどで、1日を通じても1兆5000~6000億円程度だろう。円相場は1ドル=106円台後半で下げ渋っており、アジア市場では中国・上海総合指数がやはり小動き。後場の日経平均は小高い水準でこう着感を強めそうだ。個人投資家が取引主体の中小型株は、イベントを控えた週末とあって利益確定売りに押される銘柄が目立つ。
米国ではカンザスシティー連銀のジョージ総裁が7月の利下げは「必要ではなかった」との見解を示し、フィラデルフィア連銀のハーカー総裁は政策金利について「しばらくは現水準にとどまり状況を見極めるべきだ」などと述べたと伝わっており、追加利下げへの期待がやや後退している。とはいえ市場が9月利下げをほぼ確実視するなか、パウエル氏は難しい舵取りを迫られそうだ。
(小林大純)
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