*15:06JST 和田興産 Research Memo(6):2025年2月期は各段階の利益の増益に伴い、利益率は上昇の見通し
■和田興産<8931>の今後の見通し
1. 2025年2月期の業績見通し
2025年2月期の事業環境は、マクロ環境は長らく続いたデフレから、円安を契機に物価上昇や所得状況の改善によりインフレ基調に転換しており、コロナ禍の収束によりサービス消費やインバウンド需要の回復もあり、企業業績も好調に推移しているものの、日銀がマイナス金利を解除するなど今後の金利動向などが懸念される。そうしたなか、不動産・住宅市況は、2024年3月公表の地価公示では全国全用途がバブル期以来の伸び率で、特に三大都市圏は上昇率が拡大している。また、住宅ローン金利の低位安定や政府による住宅取得支援策の継続もあり住宅需要は底堅く推移している一方、建築費は資材価格の高止まりや労務単価の高騰などの影響で、依然として高い水準にある。
同社が立地する近畿圏のマンション市場を見ると、2024年上期マンション供給戸数は6,410戸(前年同期比5.5%増)、下期販売見込みは約10,000戸、戸当たり平均価格は5,813万円(同21.8%増)、m2単価は94.2万円(同19.7%増)であり、価格は上昇しているものの供給が減少していることから受注は好調で、契約率平均は74.1%(同6.3ポイント上昇)と好不調の分岐点と言われる70%を上回っている。同社が地盤とする神戸市・阪神間では、2024年上期マンション供給戸数は神戸市535戸(同16.0%減)、兵庫県下510戸(同3.8%減)、戸当たり平均価格は神戸市4,540万円(同3.0%減)、兵庫県下6,165万円(同18.5%増)、m2単価は神戸市96.3万円(同16.9%増)、兵庫県下83.6万円(同16.4%増)であり、特に神戸市ではm2単価が大きく上昇し、供給戸数は大幅減となっている。
こうした事業環境の下で、同社では、その他不動産販売セグメントを中心にすべてのセグメントで採算性が向上するほか、営業外収入で役員退職慰労金制度廃止に伴う保険解約返戻金を計上する見込みで、期初計画を上回る見通しとなったことから、2024年9月13日に期初の通期業績予想を上方修正した。修正後の2025年2月期の業績は、売上高で前期比3.0%増の40,000百万円、営業利益で同9.3%増の4,950百万円、経常利益で同8.6%増の4,150百万円、当期純利益で同11.8%増の2,950百万円を見込んでいる。期初予想から売上高で2.6%、営業利益で5.3%、経常利益で9.2%、当期純利益で9.3%の増額修正であった。全セグメントでの採算性向上に加えて、営業外収入で役員退職慰労金制度廃止に伴う保険解約返戻金を計上する見込みであり、そのため経常利益及び当期純利益の修正率が大きくなっている。同社の主力である分譲マンション販売では、2025年2月期下期に竣工予定のうち戸数ベースで約9割を契約済であり、同社では通期計画の達成に自信を持っているようだ。
主力の分譲マンション販売では、2025年2月期下期竣工予定物件の9割以上が契約済
2. 事業セグメント別見通し
(1) 分譲マンション販売
売上高について、前期比0.6%増の30,100百万円を計画している。引渡戸数は同56戸減の630戸であるが、戸当たり平均価格は同4百万円増の48百万円の見通しだ。引渡戸数は減少するものの、販売単価の上昇によりおおむね前期並みの売上高を計画している。
2025年2月期下期の竣工予定物件は、棟数6棟、総戸数314戸で、2024年8月末時点の契約済戸数は278戸、契約率は88.5%であったが、足元では9割以上に上昇している。さらに、地域別の仕入済未発売プロジェクト数は、神戸市で20棟:984戸、阪神間で6棟:126戸、明石市〜姫路市で8棟:422戸、大阪府で4棟:316戸となっており、同事業が今後も同社の業績を牽引する見通しである。
神戸市中心部に大型の分譲マンション「ワコーレ神戸元町ザ・ゲートタワー」を2024年9月に発売した。総戸数101戸、阪神・神戸高速線「西元町」駅より徒歩1分の好立地で、2027年2月引渡予定である。また、新規エリアとなる大阪府堺市に「ワコーレ堺東レジデンス」を2024年8月に発売した。総戸数51戸、南海高野線「堺東」駅より徒歩8分の好立地で、2026年3月引渡予定である。いずれの物件も、契約は好調に進捗している。
(2) 戸建て住宅販売
売上高について前期比9.1%増の2,200百万円、引渡戸数は同6戸増の54戸を計画している。上期の実績は売上高では913百万円(進捗率41.5%)、引渡戸数も同24戸(進捗率44.4%)に留まっているが、下期に供給を増やす計画だ。「ワコーレノイエ池田石橋」は、大阪府池田市で、総区画数3区画、阪急宝塚線「石橋阪大前」駅より徒歩11分の好立地である。また、「ワコーレノイエKOBE片山町」は、神戸市長田区で、総区画数4区画、神戸市営地下鉄「長田」駅より徒歩10分の好立地である。
(3) その他不動産販売
売上高について、前期比23.0%増の4,500百万円を計画している。販売用収益物件の売却が好調で、来期以降を見据えた仕入・開発にも注力する。開発中物件は、木造収益物件が7プロジェクト:84戸、鉄骨収益物件が54プロジェクト:748戸、RC収益物件が2プロジェクト:94戸で、合計63プロジェクト:926戸である。また、2025年2月期下期の販売予定物件は、鉄骨収益物件が8プロジェクト:130戸である。その中で、大阪府高槻市の「ワコーレヴィータ高槻八丁畷町NORTH」は、総戸数15戸、阪急京都線「高槻市」駅より徒歩10分の好立地であり、届け物の受け取りに便利な宅配ボックスも設置している。
(4) 不動産賃貸収入
売上高について、前期比0.5%増の3,200百万円を計画している。引き続き高稼働率維持により、安定収益を確保する。2025年2月期上期の実績では、賃貸収入構成比は、住居73.8%、店舗・事務所等21.4%、駐車場2.7%、トランクルーム他2.2%であった。また中間期末時点の稼働率は住居96.6%、店舗・事務所等95.7%、駐車場84.4%であった。住居や店舗・事務所では、退去後にリフォームが必要であることから、実質的には満室に近い状態である。その中で、「ワコーレヴィータ森北町」は、神戸市東灘区にあり、総戸数27戸で、JR「甲南山手」駅徒歩9分の好立地である。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)
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1. 2025年2月期の業績見通し
2025年2月期の事業環境は、マクロ環境は長らく続いたデフレから、円安を契機に物価上昇や所得状況の改善によりインフレ基調に転換しており、コロナ禍の収束によりサービス消費やインバウンド需要の回復もあり、企業業績も好調に推移しているものの、日銀がマイナス金利を解除するなど今後の金利動向などが懸念される。そうしたなか、不動産・住宅市況は、2024年3月公表の地価公示では全国全用途がバブル期以来の伸び率で、特に三大都市圏は上昇率が拡大している。また、住宅ローン金利の低位安定や政府による住宅取得支援策の継続もあり住宅需要は底堅く推移している一方、建築費は資材価格の高止まりや労務単価の高騰などの影響で、依然として高い水準にある。
同社が立地する近畿圏のマンション市場を見ると、2024年上期マンション供給戸数は6,410戸(前年同期比5.5%増)、下期販売見込みは約10,000戸、戸当たり平均価格は5,813万円(同21.8%増)、m2単価は94.2万円(同19.7%増)であり、価格は上昇しているものの供給が減少していることから受注は好調で、契約率平均は74.1%(同6.3ポイント上昇)と好不調の分岐点と言われる70%を上回っている。同社が地盤とする神戸市・阪神間では、2024年上期マンション供給戸数は神戸市535戸(同16.0%減)、兵庫県下510戸(同3.8%減)、戸当たり平均価格は神戸市4,540万円(同3.0%減)、兵庫県下6,165万円(同18.5%増)、m2単価は神戸市96.3万円(同16.9%増)、兵庫県下83.6万円(同16.4%増)であり、特に神戸市ではm2単価が大きく上昇し、供給戸数は大幅減となっている。
こうした事業環境の下で、同社では、その他不動産販売セグメントを中心にすべてのセグメントで採算性が向上するほか、営業外収入で役員退職慰労金制度廃止に伴う保険解約返戻金を計上する見込みで、期初計画を上回る見通しとなったことから、2024年9月13日に期初の通期業績予想を上方修正した。修正後の2025年2月期の業績は、売上高で前期比3.0%増の40,000百万円、営業利益で同9.3%増の4,950百万円、経常利益で同8.6%増の4,150百万円、当期純利益で同11.8%増の2,950百万円を見込んでいる。期初予想から売上高で2.6%、営業利益で5.3%、経常利益で9.2%、当期純利益で9.3%の増額修正であった。全セグメントでの採算性向上に加えて、営業外収入で役員退職慰労金制度廃止に伴う保険解約返戻金を計上する見込みであり、そのため経常利益及び当期純利益の修正率が大きくなっている。同社の主力である分譲マンション販売では、2025年2月期下期に竣工予定のうち戸数ベースで約9割を契約済であり、同社では通期計画の達成に自信を持っているようだ。
主力の分譲マンション販売では、2025年2月期下期竣工予定物件の9割以上が契約済
2. 事業セグメント別見通し
(1) 分譲マンション販売
売上高について、前期比0.6%増の30,100百万円を計画している。引渡戸数は同56戸減の630戸であるが、戸当たり平均価格は同4百万円増の48百万円の見通しだ。引渡戸数は減少するものの、販売単価の上昇によりおおむね前期並みの売上高を計画している。
2025年2月期下期の竣工予定物件は、棟数6棟、総戸数314戸で、2024年8月末時点の契約済戸数は278戸、契約率は88.5%であったが、足元では9割以上に上昇している。さらに、地域別の仕入済未発売プロジェクト数は、神戸市で20棟:984戸、阪神間で6棟:126戸、明石市〜姫路市で8棟:422戸、大阪府で4棟:316戸となっており、同事業が今後も同社の業績を牽引する見通しである。
神戸市中心部に大型の分譲マンション「ワコーレ神戸元町ザ・ゲートタワー」を2024年9月に発売した。総戸数101戸、阪神・神戸高速線「西元町」駅より徒歩1分の好立地で、2027年2月引渡予定である。また、新規エリアとなる大阪府堺市に「ワコーレ堺東レジデンス」を2024年8月に発売した。総戸数51戸、南海高野線「堺東」駅より徒歩8分の好立地で、2026年3月引渡予定である。いずれの物件も、契約は好調に進捗している。
(2) 戸建て住宅販売
売上高について前期比9.1%増の2,200百万円、引渡戸数は同6戸増の54戸を計画している。上期の実績は売上高では913百万円(進捗率41.5%)、引渡戸数も同24戸(進捗率44.4%)に留まっているが、下期に供給を増やす計画だ。「ワコーレノイエ池田石橋」は、大阪府池田市で、総区画数3区画、阪急宝塚線「石橋阪大前」駅より徒歩11分の好立地である。また、「ワコーレノイエKOBE片山町」は、神戸市長田区で、総区画数4区画、神戸市営地下鉄「長田」駅より徒歩10分の好立地である。
(3) その他不動産販売
売上高について、前期比23.0%増の4,500百万円を計画している。販売用収益物件の売却が好調で、来期以降を見据えた仕入・開発にも注力する。開発中物件は、木造収益物件が7プロジェクト:84戸、鉄骨収益物件が54プロジェクト:748戸、RC収益物件が2プロジェクト:94戸で、合計63プロジェクト:926戸である。また、2025年2月期下期の販売予定物件は、鉄骨収益物件が8プロジェクト:130戸である。その中で、大阪府高槻市の「ワコーレヴィータ高槻八丁畷町NORTH」は、総戸数15戸、阪急京都線「高槻市」駅より徒歩10分の好立地であり、届け物の受け取りに便利な宅配ボックスも設置している。
(4) 不動産賃貸収入
売上高について、前期比0.5%増の3,200百万円を計画している。引き続き高稼働率維持により、安定収益を確保する。2025年2月期上期の実績では、賃貸収入構成比は、住居73.8%、店舗・事務所等21.4%、駐車場2.7%、トランクルーム他2.2%であった。また中間期末時点の稼働率は住居96.6%、店舗・事務所等95.7%、駐車場84.4%であった。住居や店舗・事務所では、退去後にリフォームが必要であることから、実質的には満室に近い状態である。その中で、「ワコーレヴィータ森北町」は、神戸市東灘区にあり、総戸数27戸で、JR「甲南山手」駅徒歩9分の好立地である。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)
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