2日の米株式市場はレーバー・デーの祝日で休場だった。ただ、米中が9月に予定している通商協議の日程調整に難航していると海外メディアが報じたことなどから、本日の東京市場では米中摩擦への懸念が先行し、日経平均は38円安でスタート。前日に続き海外投資家の取引参加は少なく、積極的に売り込む動きが限られる一方、景気敏感株の一角には買い戻しが入った。円相場の弱含みも支援材料となり、日経平均は寄り付き直後を安値にプラスへ切り返し、一時20662.23円(42.04円高)まで上昇した。
東証1部の値上がり銘柄は全体の7割弱、対して値下がり銘柄は2割強となっている。
個別では、任天堂<7974>、ソニー<6758>、トヨタ自<7203>などがしっかり。半導体関連のSUMCO<3436>、電子部品の太陽誘電<6976>は2%超上昇した。伊藤園<2593>
やピジョン<7956>は決算が好感されて買い優勢。コナカ<7494>はサマンサJP<7829>
を持分法適用会社にすることが材料視され、急伸する場面があった。また、新サービス開始を発表したチェンジ<3962>が物色を集め、アトラ<6029>などとともに東証1部上昇率上位に顔を出した。一方、日経平均寄与度の大きいソフトバンクG<9984>やファーストリテ<9983>は小安い。ファナック<6954>などは軟調で、半導体関連でもアドバンテス<6857>は2%超下落した。一部証券会社のレーティング引き下げが観測された大日住薬<4506>は3%の下落。また、公募増資の実施を発表したホットランド<3196>などが東証1部下落率上位に顔を出した。セクターでは、海運業、鉄鋼、証券などが上昇率上位で、その他も全般堅調。鉱業、ゴム製品、保険業の3業種のみ下落した。
前場の取引ではやや売りが先行したものの、日経平均は方向感に乏しい展開だった。日足チャート上では、20500円台後半に位置する5日移動平均線と20700円近辺に位置する25日移動平均線に挟まれ、こう着感を強めている。9月に予定される米中協議の開催を巡り日程調整が難航していると伝わったが、1日に報復関税の応酬を演じたばかりとあって想定内だろう。アジア市場を見ると中国・上海総合指数も小動き。ドル・円相場は106円台前半でのもみ合いが続いており、手掛かり材料に乏しい。前場の東証1部売買代金は6000億円あまりにとどまったが、海外投資家の不在ばかりが原因ではないだろう。国内勢もひとまず連休明けの米国市場の動向を見極めたいとの思惑から様子見ムードか。
今週は米国でサプライマネジメント協会(ISM)製造業景況感指数(3日)、雇用統計(6日)といった8月の主要経済指標の発表が予定されている。今月中旬には日米欧の中央銀行が相次ぎ金融政策決定会合を開くだけに、これらの経済指標が非常に注目されそうだ。英国の欧州連合(EU)離脱に関しては、離脱延期を迫る英議会に対しジョンソン英首相が解散総選挙も辞さない構えを見せており、「合意なき離脱」への懸念が高まる。各国の金融緩和や財政出動への期待が下支えとなるものの、積極的に上値を追う動きは依然乏しいだろう。個人投資家は引き続き中小型の材料株やテーマ株で短期的な値幅取りを狙う動きが中心となりそうだ。
(小林大純)
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