4日の米株式市場でNYダウは大幅続伸。512ドル高と今年2番目の上げ幅を記録した。連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長が必要であれば利下げに動く可能性を示唆し、好感した買いが広がった。また、中国政府が米国との貿易摩擦に関し対話での解決を求め、摩擦激化への懸念も和らいだ。本日の日経平均はこうした流れを引き継いで259円高からスタート。その後も上げ幅を広げ、ここまでの高値で前場を折り返した。東証1部の値上がり銘柄は全体の9割弱となっている。
個別では、ソフトバンクG<9984>、任天堂<7974>、トヨタ自<7203>、ソニー<6758>、東エレク<8035>など売買代金上位は全般堅調。第一三共<4568>や安川電<6506>は5%前後の上昇となった。半導体や電子部品、設備投資関連株を中心に上げが目立った。レーティング引き上げ観測の邦チタニウム<5727>や大阪チタ<5726>、米社とのライセンス契約締結が材料視されたサンリオ<8136>は急伸し、双信電機<6938>などとともに東証1部上昇率上位に顔を出した。一方、売買代金上位ではファーストリテ<9983>と花王<4452>が逆行安。ファーストリテは5月の国内「ユニクロ」既存店売上高が2カ月連続の減収となった。また、同じく月次売上速報を発表したアダストリア<2685>や、前期決算が2ケタ減益となったアインHD<9627>が東証1部下落率上位に顔を出した。セクターでは、全33業種がプラスとなり、非鉄金属、海運業、金属製品、機械、ガラス・土石製品などが上昇率上位だった。
前日までの5日間で850円あまり下落していた日経平均だが、本日は米株高を手掛かりに急反発する展開となった。世界経済の減速懸念が強まるなか、FRBによる金融緩和への期待が高まっている。市場はFRBの年内利下げをほぼ確実とみる。日本では夏の参院選を控え政策期待が高まる可能性があり、日米で「催促相場」の様相が強まることも想定される。懸案の通商摩擦を巡っては、中国が米国との対話姿勢を改めて示したほか、メキシコのロペスオブラドール大統領が米国による追加関税発動の期限より前に合意できるだろうなどと述べており、サプライチェーン(供給網)への影響に懸念が強まっていた自動車株を中心に輸出株や景気敏感株の買い戻しの動きが見られる。
とはいえ、日経平均が一段の戻りを見せるかについてはなお懐疑的な見方が多い。米中摩擦に関しては中国側が具体的な打開策を示したわけでなく、米国側の反応も見通せない。懸念が払拭されたとは言えない状況だ。また、米利下げ観測の拡大からドル・円は108円近辺と反発が鈍く、輸出企業の採算悪化懸念は拭えない。日経平均の目先の戻りに乗るかは慎重に判断する必要があるだろう。
(小林大純)
<AK>
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