13日の米株式市場でNYダウは3日ぶりに反発し、101ドル高となった。ホルムズ海峡近くで石油タンカー2隻が攻撃され、原油供給の先行き不透明感から原油先物相場が上昇。エクソンモービルなどの石油株に買いが先行した。また、5月輸入物価指数が前月比で5カ月ぶりに低下し、早期利下げ観測が強まったことも相場を後押しした。本日の日経平均もこうした流れを引き継ぎ17円高からスタート。地政学リスクの高まりが意識され、朝方はマイナスに転じる場面もあったが、前場中ごろにかけて一時21117.41円(85.41円高)まで上昇した。先物・オプション6月物の特別清算指数(SQ)は概算で21060.56円。東証1部の値上がり銘柄は全体の6割強、対して値下がり銘柄は3割強となっている。
個別では、ソニー<6758>が3%近い上昇で前場を折り返した。米ファンドが同社株を追加取得し、半導体部門の分離を要求しているなどと伝わっている。複数の証券会社で高評価付与が観測されているアンリツ<6754>は4%超上昇した。その他売買代金上位ではファーストリテ<9983>、任天堂<7974>、トヨタ自<7203>などがしっかり。ソフトバンクG<9984>は小幅高となっている。また、決算発表のBガレジ<3180>やヤーマン<6630>が東証1部上昇率上位に顔を出した。一方、東エレク<8035>は3%近い下落。米半導体大手ブロードコムが売上高見通しを下方修正し、東京市場でも関連銘柄に売りが波及した。ZOZO<3092>や花王<4452>も軟調で、KDDI<9433>は小安い。また、第1四半期が2ケタ営業減益となった東京ドーム<9681>などが東証1部下落率上位に顔を出した。セクターでは、鉱業、石油・石炭製品、非鉄金属などが上昇率上位。反面、水産・農林業、海運業、精密機器などが下落率上位だった。原油先物相場の上昇で関連銘柄が買われた。
引け後に中国で固定資産投資、鉱工業生産、小売売上高といった5月経済指標の発表が予定されているうえ、今晩の米国でもやはり5月小売売上高、鉱工業生産・設備稼働率の発表があるため、米中摩擦の影響を見極めたいとの思惑が強まるだろう。メジャーSQ算出日にもかかわらず、前場の東証1部売買代金は概算で1兆2000億円弱にとどまっており、市場の手控えムードの強さが窺える。朝方のSQ算出を通過した後の日経平均は21000円近辺でもみ合いと予想する向きが多いが、後場はこうした見方に沿って推移しそうだ。
13日発表された6月第1週(3-7日)の投資主体別売買動向では、現物株・先物の総合で主な買い越し主体が事業法人(1651億円)、投資信託(912億円)、信託銀行(777億円)となる一方、主な売り越し主体が個人(1834億円)、外国人(1538億円)となった。通商摩擦や消費増税の影響への懸念などから純投資家が売り、日銀の上場投資信託(ETF)買い入れや企業の自社株買いがそれらを吸収するという構図とみられる。とはいえこれらの買い主体は積極的に上値を追うことはなく、追加の材料が出るまで日経平均は薄商いでのもみ合いが続きそうだ。
(小林大純)
<AK>
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