週明け25日の米株式市場でNYダウは続伸し、60ドル高となった。トランプ大統領が米中通商協議の進展を理由に交渉期限の延長を発表。中国の習近平国家主席との首脳会談を来月に設定し、通商合意に署名する可能性を示唆したことが好感された。円相場は一時1ドル=111円台まで下落し、本日の日経平均は米株高や円安を受けて27円高からスタートした。
ただ、東京市場では米中交渉期限の延長などは前日に伝わっており、買いが一巡すると利益確定の売りに押されマイナスに転じた。為替の円安一服なども相場を押し下げた。東証1部の値下がり銘柄は全体の6割強となっている。
個別では、キーエンス<6861>が2%超、東海カーボ<5301>が3%超下落したほか、ソニー<
6758>、村田製<6981>、SMC<6273>などがさえない。ハイテク株の軟調ぶりがやや目立った。ファーストリテ<9983>は小幅に下落。また、配当権利落ちのオンワードHD<8016>が5%超下落し、ショーケース<3909>などとともに東証1部下落率上位に顔を出した。一方、ソフトバンクG<9984>、任天堂<7974>、武田薬<4502>、トヨタ自<7203>などは小幅に上昇。資生堂<4911>は2%高と堅調だった。また、業績上方修正の井筒屋<8260>などが東証1部上昇率上位に顔を出した。セクターでは、鉱業、石油・石炭製品、保険業などが下落率上位。反面、医薬品、電気・ガス業、パルプ・紙などが上昇率上位だった。トランプ氏が
「原油価格は高過ぎる」などと不満を示し、NY原油先物相場が反落して関連銘柄が売られた。
前日の米NYダウは60ドル高で取引を終えたものの、一時200ドルを超える上昇となったことを踏まえると伸び悩んだ印象。今週はパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の議会証言
(26-27日)、昨年10-12月期の米国内総生産(GDP)発表(28日)といった重要イベントが予定されており、これらの内容を見極めたいとの思惑が広がったようだ。為替の円安進行や中国・上海総合指数の上げが一服していることもあり、東京市場でも一段の上値追い材料に乏しい。後場の日経平均は日足チャートの5日移動平均線(21460円付近)レベルで軟調もみ合いとなることが見込まれる。
米中の通商協議が佳境を迎えるなか、足元の戻り相場の賞味期限が意識されつつある可能性も考慮しておきたい。日本株や米国株は昨年末からの戻りで米中協議の合意期待をかなり織り込んできたと言えるだろう。「思惑で買って事実で売る」スタンスの投資家からは早々に利益確定の売りが出ていてもおかしくない。押し目買いには慎重姿勢で臨みたいところだ。
(小林大純)
<AK>
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