週明け14日の米株式市場でNYダウは反落し、184ドル安となった。新型コロナウイルスのワクチン接種が開始されたほか、追加経済対策の成立期待も根強く、一時は200ドル超上昇する場面があった。しかし、新型コロナ感染拡大に伴い英ロンドンが最も厳しい制限措置を実施すると発表したうえ、米国でもニューヨーク市のデブラシオ市長がロックダウン(都市封鎖)実施の可能性を示唆し、NYダウは下落に転じた。さらに国内では政府が観光需要喚起策「Go Toトラベル」を一定期間停止すると発表し、本日の日経平均は国内外での感染拡大を嫌気して49円安からスタート。寄り付き後、下値では押し目買いも入りプラス圏に浮上する場面があったが、積極的に上値を追う動きは限られた。
個別では、公募株の受渡期日を迎えたANA<9202>が7%近い下落。今期業績予想の増益率鈍化が嫌気された神戸物産<3038>も商いを伴って大きく下げている。その他ではソフトバンクG<9984>、任天堂<7974>、トヨタ自<7203>、ソニー<6758>、キーエンス<6861>などが小安い。また、今期減益見通しのジェイ・エス・ビー<3480>が急落し、邦アセチレン<4093>などとともに東証1部下落率上位に顔を出している。一方、ファナック<6954>が堅調で、エムスリー<2413>やファーストリテ<9983>は小じっかり。
川崎重<7012>は水素関連のテーマ物色が続き6%近く上昇している。自社株買い実施を発表した日本ハウスHD<1873>、今期大幅増益見通しのMSOL<7033>などは急伸。
また、上期決算が2ケタ増益となったHamee<3134>はストップ高を付けている。
セクターでは、空運業、保険業、海運業などが下落率上位。半面、パルプ・紙、ガラス・土石製品など4業種が上昇した。東証1部の値下がり銘柄は全体の52%、対して値上がり銘柄は42%となっている。
海外で相次ぐ規制措置の強化、それに国内での「Go Toトラベル」一時停止など、新型コロナ感染第3波の影響が国内外で広がっていることを受けて、本日の日経平均はやや軟調に推移している。とはいえ、日足チャート上では26700円台に位置する5日移動平均線絡みの値動きが続いており、投資スタンスが大きく後退したとまでは言えないだろう。患者の増加に伴い医療体制がひっ迫の度を強めており、更なる規制強化や自粛要請の拡大に踏み切らざるを得なくなる可能性はある。こうした足元の状況は懸念すべきものだが、一方でワクチンの普及、それに経済・金融面での支援策への期待も根強い。
そういった意味では、米連邦準備理事会(FRB)が本日から開催する米連邦公開市場委員会(FOMC)で追加緩和姿勢を示すか、一段と注目度が高まっていると言っていいだろう。翌16日の結果発表やパウエルFRB議長の会見内容を見極めたいとのムードが強まりそうだ。また、東証株価指数(TOPIX)は0.48%の下落で前場を折り返しており、日銀による上場投資信託(ETF)買い入れは実施されない公算が大きい。後場の日経平均も軟調もみ合いが続くとみておきたい。
さて、そんな市場全体のムードをよそに、本日からIPO(新規株式公開)ラッシュがスタートし、個人投資家による売買が活発となっている。本日は東証2部にビーイングHD<9145>、マザーズにスタメン<4019>が新規上場。ビーイングHDは公開価格を5割近く上回る初値を付けたが、3割前後の上昇という予想が多かったことを踏まえると、IPOラッシュは好調な滑り出しと言っていいだろう。スタメンはまだ買い気配のまま初値を付けていない。
先週、インターネット証券でソフトバンクGや環境関連株の売買が活発だったところを見ると、個人投資家の物色意欲は旺盛だ。本日から29日までの約半月で26社、今週だけでも12社が新規上場するという過密スケジュールだが、個人投資家の積極的な取引参加が期待できそうだ。
もっとも、新規上場銘柄の株価指数組み入れは翌月末となるため、その賑わいは株価指数に直接影響しない。本日もマザーズ指数が朝高後に反落している。もちろんIPOラッシュが進み既存の上場銘柄に投資資金が還流することも期待されるが、新規上場銘柄が相次ぎ登場するうちはマザーズ指数の本格的な上昇が期待しづらいだろう。また、新規上場銘柄には短期の値幅取りを狙った買いも多く入っているとみられ、ここからIPOが続くだけに資金の逃げ足の早さに注意する必要がある。
(小林大純)
<AK>
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