週明け8日の米株式市場でNYダウは115ドル安と続落。5日に発表された6月雇用統計が堅調な内容だったことを受け、利下げ期待の後退による売りが続いた。アップルやボーイングが個別の材料で売られたこともNYダウを押し下げた。一方で円相場が1ドル=108円台後半と弱含みで推移しており、本日の日経平均は円安を好感した買いが先行して63円高からスタート。朝方には21687.29円(152.94円高)まで上昇する場面があった。ただ、一段と上値を追う動きは乏しく、買いが一巡すると伸び悩んだ。東証1部の値上がり銘柄は全体の4割強、対して値下がり銘柄は5割強となっている。
個別では、日経平均寄与度の大きいファーストリテ<9983>やソフトバンクG<9984>が堅調。米利下げ期待の後退と円安で、メガバンク株の一角やトヨタ自<7203>は小じっかり。
ウエルシアHD<3141>は前週末に発表した決算を好感した買いが続いており、ユニファミマ<8028>といった小売株の一角も上げが目立つ。また、システムソフト<7527>がストップ高を付けたほか、曙ブレーキ<7238>やジェイ・エス・ビー<3480>も東証1部上昇率上位に顔を出した。一方、東エレク<8035>、村田製<6981>、太陽誘電<6976>といった半導体、電子部品関連株の軟調ぶりが目立つ。スマートフォン「iPhone」の新モデルの販売が低迷しているとの観測から米アップル株が下落した流れを引き継いだ。任天堂<7974>、ソニー<6758>、ZOZO<3092>は小安い。また、富士興産<5009>などが東証1部下落率上位に顔を出した。セクターでは、石油・石炭製品、水産・農林業、証券などが上昇率上位。反面、海運業、繊維製品、鉄鋼などが下落率上位だった。
前日に200円超下落した日経平均だが、本日は円相場の弱含みを受けて先物の買い主導で反発した格好だ。個別では日経平均寄与度の大きい値がさ株が堅調。しかし、東証1部銘柄の半数以上が下落しており、市場のムードに明るさは見られない。8日に続き10日にも上場投資信託(ETF)の分配金捻出を目的とした売りが見込まれており、積極的な押し目買いは手掛けづらい。また、10日に予定される米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長の議会証言の内容を見極めたいとの思惑も強いようだ。国内企業の決算では11日発表の安川電<6506>やファーストリテなどが注目されている。前場の東証1部売買代金は7700億円ほどにとどまっており、投資家の手控えムードが窺える。
米6月雇用統計では非農業部門雇用者数が前月比22万4000人増と予想(16万人程度の増加)を大きく上回った。FRBによる早期大幅利下げへの期待が後退する一方、いまだに7月の利下げがほぼ確実視されるなかで、パウエル氏の議会証言が注目を集めている。ETFの売り観測も相まって、目先は模様眺めムードの強い相場展開が続きそうだ。
(小林大純)
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