前日18日の米国株式市場のダウ平均は13.11ドル高(-0.98%)と反落。中東情勢の緊迫化を警戒した売りが優勢に。さらに、原油高が警戒されたほか、連邦準備制度理事会(FRB)が公表した地区連銀経済報告(ベージュブック)で国内経済の底堅さが再確認されたため長期金利が一段と上昇し、ハイテク株を中心に売られた。ナスダック総合指数は大幅続落、主要株式指数が終日軟調に推移した米株市場を横目に、19日の日経平均は462.71円安の31579.54円と3日ぶりに反落してスタート。その後はマイナス圏で軟調に推移した。
個別では、レーザーテック<6920>や東エレク<8035>、ディスコ<6146>などの半導体関連株、川崎汽船<9107>や郵船<9101>などの海運株が軟調に推移。また、三菱UFJ<8306>や三井住友FG<8316>などの金融株、三菱商事<8058>や三井物産<8031>などの商社株、ファーストリテ<9983>、キーエンス<6861>、トヨタ自<7203>、ソフトバンクG<9984>、第一三共<4568>、ソニーG<6758>、オリエンタルランド<4661>などが下落した。第三者割当によるCB・新株予約権発行で潜在的な希薄化懸念が台頭したツバキナカシマ<
6464>が急落。ほか、アンビスHD<7071>、エンプラス<6961>、マルマエ<6264>が下落率上位となった。
一方、キヤノン<7751>、TOWA<6315>、任天堂<7974>、などが上昇した。また、前日に業績予想の上方修正を発表したカナデン<8081>や敵失的恩恵の享受など期待し国内証券が目標株価を引き上げたIDOM<7599>は急騰、ヴィア・ホールディングス<7918>、キャリアインデックス<6538>、北の達人コーポ<2930>などが値上がり率上位となった。
セクターでは、精密機器、空運業、卸売業が下落率上位に並んでいる一方で、パルプ・紙、陸運業、が上昇率上位に並んでいる。東証プライム市場の値上がり銘柄は全体の18%、対して値下がり銘柄は80%となっている。
本日の東京株式市場は売りが先行した。前日の米主要株価指数が下落したことが東京市場の株価の重しとなったほか、日米長期金利の上昇に加えて中東情勢の緊迫化や米国による対中半導体規制の強化、米財政運営の先行き不透明感など警戒材料が多く、売り手優位の状況が続いている。また、中国・香港市場も主要株価指数が大きく下落しており、投資家心理の重しとなっている。なお、取引開始前に発表された9月の貿易収支は624億円の黒字で、QUICKがまとめた民間予測の中央値は4250億円の赤字だった。黒字は3か月ぶりで、中国向けの食料品の輸出額が98億円と前年同月比で58%減少したようだ。
さて、後場の日経平均はじりじりと下げ幅を広げる展開か。取引開始前に発表された対外及び対内証券売買契約などの状況(週間)によると、海外投資家は10月8-14日に国内株を3週連続で買い越しており、買越額は1兆2599億円だったが、直近のネガティブ材料を打ち消すような内容ではなかった。他方、バイデン大統領は、ガザの病院での爆発についてイスラエルの責任ではないことを示唆する米国防総省の証拠を確認したようだ。ただ、アラブ諸国の指導者らは18日にヨルダンで予定されていたバイデン大統領との首脳会談をキャンセルしており、中東の地政学リスクは不透明感がぬぐえない。午後からは引き続きアジア市況の動向に加えて、米株先物の推移を見極めたい。テクニカル面でも、サポートラインが見当たらず、下値模索の展開を示唆しているか。総じて、手掛かり材料に乏しい中、後場も売り優勢の展開となりそうだ。
(山本泰三)
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