7日の米株式市場でNYダウは473ドル安と大幅に続落。トランプ大統領が表明した10日からの対中関税引き上げをライトハイザー通商代表部(USTR)代表が再確認したことで、米中通商協議の先行き懸念が一層強まった。為替市場でもリスク回避的な円買いなどから1ドル=110円台前半まで円高が進み、本日の日経平均はこうした流れを嫌気して295円安からスタート。寄り付き後も軟調な展開となり、一時21546.57円(377.15円安)まで下落した。東証1部の値下がり銘柄は全体の8割強、対して値上がり銘柄は1割強となっている。
個別では、トヨタ自<7203>が円高進行を受けて2%近く下落したほか、ソフトバンクG<9984>、村田製<6981>、キーエンス<6861>などがさえない。武田薬<4502>は3%近く下落し、コマツ<6301>やSUMCO<3436>は4%前後の下落。JAL<9201>も旅客システムの不具合発生で売りがかさんだ。また、スミダ<6817>やミルボン<4919>、ヤマハ発<7272>は決算が嫌気されて急落し、東証1部下落率上位に顔を出した。一方、ZOZO<3092>が売買代金トップで5%を超える上昇。短期的な戻りに期待した買いを集めているようだ。任天堂<7974>
やファーストリテ<9983>は小高い。前日に決算発表したオリックス<8591>は朝安後プラスに切り返した。アイフル<8515>は前期業績を下方修正したが、悪材料出尽くし感から大きく買われた。セクターでは、全33業種がマイナスとなり、空運業、精密機器、ガラス・土石製品、非鉄金属、卸売業などが下落率上位だった。
日経平均の日足チャートを見ると、本日は窓を開けて大きく下落し、21800円台に位置する25日移動平均線や200日移動平均線を割り込んだ。米中とも通商協議を継続する姿勢を見せており、9-10日には中国の劉鶴副首相が訪米する。しかし、金融市場では合意への楽観論が大きく後退し、関税引き上げも視野に入れリスク回避ムードが広がっている。積極的な買いは入りづらいところだろう。株価変動率(ボラティリティー)の拡大を受けた機械的な売りも出ているとみられ、当面は海外情勢睨みで不安定な相場展開が続くことを想定しておきたい。前日に強い動きを見せたマザーズ指数も本日は反落。好業績の中小型株などには個人投資家の物色が向かっているが、全体としてはやはりリスク回避目的の売りが優勢となっている。
外部環境への警戒感が再燃するなか、本日13時10分に発表されるトヨタ自の決算が日本企業全体の動向を探るうえでも注目される。2019年3月期営業利益は会社計画が前の期比横ばいなのに対し、市場コンセンサスでは5%前後の増益が見込まれており、20年3月期についても営業増益が続くとの予想になっている。なお、本日はほかにアサヒ<2502>、SUMCO<3436>、富士フイルム<4901>、ホンダ<7267>、ソフトバンク<9434>などが決算発表を予定している。
(小林大純)
<AK>
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