週明け20日の米株式市場でNYダウは84ドル安と続落。複数の企業が中国の通信機器最大手、華為技術(ファーウェイ)との取引を事実上禁じる米政府方針を順守することが報じられ、米中関係の更なる悪化懸念からハイテク株を中心に売りが広がった。フィラデルフィア半導体株指数(SOX)は4%安となった。東京市場でも半導体関連株や電子部品株に売りが先行し、日経平均は90円安からスタート。前場には21160.43円(141.30円安)まで下落する場面があったものの、指数寄与度の大きいソフトバンクG<9984>が買われたこと、円相場が1ドル=110円台と弱含みで推移していることが支えとなった。東証1部の値下がり銘柄は全体の7割ほど、対して値上がり銘柄は2割強となっている。
個別では、ソニー<6758>が4%超の下落。本日、経営方針説明会を開催している。半導体関連株では東エレク<8035>が3%近い下落。村田製<6981>などの電子部品株やキーエンス<6861>などのFA(ファクトリーオートメーション)関連株も軟調ぶりが目立つ。その他売買代金上位では任天堂<7974>、トヨタ自<7203>、武田薬<4502>などがさえない。また、セレス<3696>などが東証1部下落率上位に顔を出した。一方、ソフトバンクGが売買代金トップで2%超の上昇。傘下の米スプリントと同業TモバイルUSの合併計画を米連邦通信委員会(FCC)のパイ委員長が認める意見を表明した。ファーストリテ<9983>、ソフトバンク<9434>、キヤノン<7751>もしっかり。スズキ<7269>は前日に続き買われ、3%高となっている。
また、愛三工<7283>や杉本商事<9932>が東証1部上昇率上位に顔を出した。セクターでは、海運業、鉱業、電気機器などが下落率上位。反面、情報・通信業、ゴム製品、パルプ・紙など5業種が上昇した。
日経平均は3日ぶりに反落して前場を折り返したが、日足チャート上では21200円付近に位置する5日移動平均線水準で持ちこたえる形となっている。ソフトバンクGやファーストリテといった指数寄与度の大きい値がさ株に買いが入り、日経平均を下支えした。円相場の弱含みに加え、アジア市場で中国・上海総合指数が反発していることもあり、後場の日経平均は一段と売り込まれる流れにはならなそうだ。
しかし、日経平均の下げ幅こそ80円あまりにとどまったものの、東証1部銘柄のおよそ7割が下落するなど市場のムードは明るくない。米国では政府方針に従いファーウェイへの部品・サービス供給を停止する企業が相次ぐとみられている。米中対立の一段の激化が懸念され、企業活動にも広く影響を及ぼし始めた格好だ。本日は経済協力開発機構(OECD)
が世界経済見通しを公表する予定となっており、貿易摩擦を背景とした経済下振れリスクが改めて意識される可能性がある。日経平均は短期的に戻りを試す場面があっても、まだまだ上値の重い展開が続きそうだ。
(小林大純)
<AK>
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