17日の米株式市場でNYダウは148ドル高と反発し、およそ2週間ぶりに過去最高値を更新した。追加経済対策を巡り与野党が合意に近いと楽観的な見方が強まったほか、連邦準備理事会(FRB)が大規模緩和を当面継続する方針であることも相場を押し上げた。ハイテク株比率の高いナスダック総合指数は0.8%の上昇となり、連日で過去最高値を更新。ただ、国内では新型コロナウイルスの感染拡大が続いており、週末前ということもあって、本日の日経平均はやや利益確定売り優勢で31円安からスタートした。寄り付き後は米株高が支援材料となってプラス圏に浮上する場面も度々あったものの、上値を追う動きは乏しく、小安い水準でもみ合う展開となった。
個別では、前日上昇の目立った任天堂<7974>、東エレク<8035>、エムスリー<2413>
などの値がさグロース(成長株)に利益確定の売りが出て軟調。トヨタ自<7203>もさえない。新型コロナ感染拡大が嫌気されてOLC<4661>は3%超の下落。また、ここまで連日でストップ高を付けていたブラス<2424>が急反落し、東証1部下落率上位に顔を出している。一方、売買代金トップのソフトバンクG<9984>が堅調で、ソニー<6758>
やリクルートHD<6098>は2%超の上昇。ソニーは連日で年初来高値を更新している。
中小型株はやや伸びが鈍い印象だが、業績上方修正の佐鳥電機<7420>などに買い。また、新型コロナワクチン普及に絡んだ思惑からヤマシタヘルスケア<9265>がストップ高を付けている。
セクターでは、ゴム製品、その他製品、機械などが下落率上位。半面、非鉄金属、空運業、その他金融業などが上昇率上位だった。東証1部の値下がり銘柄は全体の56%、対して値上がり銘柄は38%となっている。
本日の日経平均はおおむね小安い水準でもみ合う展開となっている。売買代金上位の動向等を見ると、週末を前にやや利益確定の売りが優勢といったところだろう。ただ、ソニーが連日の年初来高値更新となるなど、一定の買いも入っている印象。前日の東証1部売買代金は2兆5458億円とまずまず多く、現物株の取引が減っているということはない。ただ、株価指数先物の方はというと年末最大のイベントと目されていた米連邦公開市場委員会(FOMC)を通過し、引き続き売買低調。現物株も上述したことからわかるとおり、新型コロナ感染状況や米政治情勢などを睨みながらの循環物色となっており、株価指数を一段と押し上げるまでには至っていない。
東京都の新型コロナ新規感染者数は17日、822人と連日で過去最多になった。このところ増加ペースが強まっており、警戒感は拭いづらいだろう。また、前日から全国の鉄道各社が大晦日の終夜運転取り止めを相次ぎ発表しており、外出・営業等の自粛が一段と広がる可能性もある。半面、FRBが大規模緩和を当面継続する方針であることから、相場の先高観は根強く残る。結果として売りにも買いにも傾きづらい状況だろう。
東証株価指数(TOPIX)は0.04%の下落で前場を折り返しており、本日も日銀による上場投資信託(ETF)買い入れは実施されない公算が大きい。円相場は足元弱含みだが、アジア市場で香港ハンセン指数が下落していることを受けて日経平均先物にやや売りが出ているようだ。一方、引け後に予定される日銀の黒田東彦総裁の記者会見が注目されており、後場に入れば様子見ムードも出てくるだろう。本日まで開催される金融政策決定会合では企業の資金繰り支援策の延長などが決まる見込みだが、特段のサプライズはないとみられている。後場の日経平均は下値を試すような動きとはならず、マイナス圏でもみ合う展開になるとみておきたい。
なお、個人投資家は引き続きIPO(新規株式公開)銘柄を中心に物色しているようだ。前日は買い気配のまま売買成立しなかったプレイド<4165>、ビートレンド<4020>、かっこ<4166>が、本日になって相次ぎ初値を付けた。また、本日新規上場した2社では、インバウンド<7031>が公開価格を3割弱上回る初値を付け、ココペリ<4167>はまだ買い気配が続いている。全般に初値好調といった印象だが、プレイドは本日売り気配からスタートしており、高値警戒感も意識しつつの物色といったところか。16日上場のバルミューダ<6612>などは本日もストップ高を付けており、資金回転が利いて需給良好だろう。ただ、来週もウェルスナビ<7342>など12社の新規上場が予定されているため、週末を前にこれらの銘柄にも利益確定の売りが出てくる可能性はある。
(小林大純)
<AK>
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