4日の米株式市場はレーバーデーの祝日に伴い休場。欧州株式市場ではドイツDAXが-0.09%、英FTSE100が-0.15%、仏CAC40が-0.23%と全体的に冴えない展開。前日までに6日続伸していた日経平均は2.23円高と続伸スタート。取引開始直後には一時1カ月ぶりに33000円を回復したが、短期的な過熱感から失速すると、次第に利益確定売りが優勢となり、32784.32円(154.86円安)まで下落する場面もあった。その後は手掛かり材料難のなか一進一退が続いた。
個別では、アドバンテスト<6857>やルネサス<6723>、芝浦<6590>、SUMCO<3436>など半導体株関連が下落。日経平均銘柄として採用に至らなかった失望感からソシオネクスト<6526>は大幅安。前日大きく上昇したSUBARU<7270>、デンソー<6902>などの自動車関連や、りそなHD<8308>、みずほ<8411>の銀行が軟調。公募増資の可能性が報じられたJFE<5411>が急落し、日本製鉄<5401>、大同特殊鋼<5471>なども連れ安。ほか、国内証券のレーティング格下げが嫌気されたイーレックス<9517>、NOK<7240>、太平洋セメ<5233>、大成建設<1801>が下落。
一方、日経平均に採用されたニトリHD<9843>が大幅高となり、レーザーテック<6920>、メルカリ<4385>も日経平均採用が好感される形で一時大きく上昇したがその後失速。信越化<4063>はOKI<6703>と共同で窒化ガリウム(GaN)を使ったパワー半導体の素材を低コストでつくる技術を開発したと報じられ、塩化ビニール樹脂のアジア向け輸出価格が上昇したとの報道も相まって上昇。OKIは急伸し一時ストップ高を付けた。ほか、SMC<6273>、ファナック<6954>、ニデック<6594>、太陽誘電<6976>などの一部のハイテク、三井不動産<8801>、三菱地所<8802>、住友不動産<8830>の不動産が堅調。F&LC<3563>、東映<9605>は国内証券のレーティング格上げで大幅高。
セクターでは鉄鋼、石油・石炭製品、保険が下落率上位に並んでいる一方、精密機器、不動産、その他製品、小売の4業種のみが上昇となっている。東証プライム市場の値下がり銘柄が全体の59%、対して値上がり銘柄は36%となっている。
日経平均は一時8月2日以来となる33000円台に乗せる場面があったが、利益確定売りに押され、7日ぶりに小反落で前場を終えている。東証株価指数(TOPIX)も一時、連日でバブル崩壊後の高値を更新する場面があったが、連騰に伴う短期的な高値警戒感から利益確定売りが優勢となり、反落に転じている。
東証プライムの騰落レシオ(25日ベース)は4日時点で128.56%と、過熱気味とされる120%を上回っている。また、TOPIXのRSI(相対力指数、14日ベース)は足元で約75%と、こちらも一般に買われすぎを示す70%を上回ってきている。テクニカル的な過熱感が徐々に強まるなか、本日の東京市場はさすがに騰勢一服となっているようだ。
ただ、前日までの連騰記録やこの間の上昇幅を考えると、調整幅はかなり小幅でむしろ底堅さを印象付ける。また、一方でマザーズ指数が1%強の上昇率となっており、幕間つなぎの物色が向かう形で、本日は新興株が総じて堅調だ。前日のように東証プライムの主力株が広く買われて全体を底上げした後、全体が小休止する場面では新興株に買いが向かうといった形で上手く物色が循環しているともいえる。
しかし、マザーズ指数は200日移動平均線上に回復してきたものの、まだ75日線を超えられておらず、日経平均やTOPIXのように明確にトレンドが転換したわけではない。また、レーバーデー明け後の米長期金利の動きが気がかりであり、新興株を積極的に買える状況でもないだろう。
先週末に発表された米雇用統計は総じて労働市場の軟化を示し、米利上げサイクル終了期待を高めるものだった。しかし、米長期金利は発表後むしろ上昇した。レーバーデー明け後に企業の起債が増えてくることなどを意識したものとされている。レーバーデー明け後は海外投資家も本格的に夏季休暇から戻ってくるため、米雇用統計後の長期金利の上昇が祝日明け以降も続くのかを見極めたい。仮に米長期金利の上昇が続くようであれば、新興株の戻りは間もなく一服すると思われるし、米国市場が調整する形で日経平均やTOPIXも上昇が一服する可能性があろう。
ほか、本日の寄り付き前に総務省が発表した7月家計調査の結果は気がかりだ。2人以上の世帯の実質消費支出は前年同月比-5.0%となり、前年比の減少は5カ月連続となった。市場予想(-2.5%)を大幅に上回る減少率で、個人消費の動向に陰りが見られる。
日本株高の主な背景は東京証券取引所が主導する株価純資産倍率(PBR)の改善といった企業改革ではあるが、日本株買いの理由の一つとして、海外景気に比べて堅調な国内景気と、その背景としての個人消費も挙げられていた。しかし、実質家計消費の動向からは個人消費の減退が窺え、日本株買いの理由の一つは剥落しそうだ。個人消費の落ち込みは、持続的なインフレによるデフレ脱却という日本の構造変化への期待も後退させかねない要因であり、日本経済ひいては日本株の先行きは楽観視できる状況ではないだろう。
今週末は9月限先物・オプション取引の特別清算指数算出(メジャーSQ)である。
日経平均のオプション取引では、行使価格33000円にコール(買う権利)の建玉残が大きく積み上がっており、この水準では売り方と買い方の攻防が激しくなりそうだ。日経平均が33000円を明確に超えてくるようだと、コールの売り手であるディーラーのヘッジ目的の先物買いが強まる可能性はある。
ただ、日経225先物は5日の夜間取引に一時33090円まで上昇した後に失速して33000円割れ。現在行われている日中取引でも一時33000円を捉えたが、その後に失速して同水準乗せには二度失敗している。こうなると、日経平均は一時の33000円乗せによって目先の達成感が強まってしまったともいえそうだ。レーバーデー明け後の今晩の米国市場の動きがより一層重要になってきたと思われ、先行きを注視したい。
(仲村幸浩)
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