10日の米株式市場では、英国で欧州連合(EU)離脱案の議会採決が延期されたことを受け、NYダウが一時500ドルを超す下落となった。ただ、午後に入るとハイテク株を中心に買い戻しが広がり、NYダウは34ドル高と4日ぶりに反発して取引を終えた。為替市場でも朝方は1ドル=113円台前半と円高一服しており、本日の日経平均は自律反発に期待した買い優勢で53円高からスタートした。中国・上海総合指数の反発なども支援材料となったが、外部環境の不透明感から買いは続かず、前場の日経平均はマイナス圏で推移する場面が多かった。
個別では、武田薬<4502>や三菱UFJ<8306>などのメガバンク株が2%超、日産自<7201>
やコマツ<6301>、SUMCO<3436>が3%超の下落で前場を折り返した。コマツは連日で取引時間中の年初来安値を更新。米中対立による中国経済の減速懸念が根強いようだ。米自動車業界が日米貿易交渉で通貨安誘導を封じる「為替条項」の導入などを求めたと伝わり、トヨタ自<7203>などの自動車株も軟調だった。また、決算発表のライクKN<6065>や三井ハイテク<6966>などが東証1部下落率上位に顔を出した。一方、ソフトバンクG<9984>
は2%高。通信子会社の上場に関し、前日に公開価格が決定している。任天堂<7974>、ファーストリテ<9983>、ソニー<6758>もしっかり。また、新規レーティング観測のT&Gニーズ<4331>などが東証1部上昇率上位に顔を出した。セクターでは、石油・石炭製品が急落したほか、鉱業や機械などが下落率上位。減産合意順守に対する懐疑的な見方が広がり、原油先物相場が反落した影響を受けた。半面、情報・通信業、空運業、その他製品が上昇率上位だった。
10日の米NYダウが急ピッチの下げ渋りを見せたことで、本日の東京市場では自律反発への期待も広がったが、買いは続かなかった。ソフトバンクGなどの値がさ株が日経平均を下支えしたものの、東証1部の値下がり銘柄は全体の8割に上り、日経平均の下落幅以上に相場の地合いが悪いことが窺われる。中国・華為技術(ファーウェイ)の幹部逮捕による米中対立の激化懸念、英国の政局混迷やEUからの合意なき離脱への懸念など、外部環境の不透明要因が多く、輸出関連株を中心に積極的な買いは手掛けづらい。また、先週から日米の株価変動が大きくなっていることも警戒感につながっているとみられる。
アジア株が比較的落ち着きを見せていることに加え、後場に入れば日銀による上場投資信託(ETF)買い入れ観測が浮上し、日経平均の下支えとなるだろう。しかし、目先は10月
安値(20971.93円、取引時間中)水準まで調整する場面も出てくると警戒しておく必要があるかもしれない。
(小林大純)
<AK>
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