11日の米株式市場ではNYダウが53ドル安と4日続落。14日から始まる米中の閣僚級協議を見極めたいとの思惑に加え、15日のつなぎ予算の失効期限を前に政府機関閉鎖への懸念も強まり、買いは続かなかった。ただ、為替市場では米債利回り上昇に伴うドル買いで円相場が1ドル=110円台前半から半ばまで下落しており、連休明けの日経平均は109円高からスタートした。前週末8日に400円超下落した反動もあり、寄り付き後の日経平均は先物主導で上げ幅を広げる展開となり、前週末の下落分を埋めて前場を折り返した。東証1部の値上がり銘柄は全体の8割強となっている。
個別では、ファーストリテ<9983>が3%高となって日経平均を約55円押し上げたほか、トヨタ自<7203>、キーエンス<6861>などが堅調。ソフトバンクG<9984>や任天堂<7974>は小じっかり。ZOZO<3092>は10%超高と急反発した。太陽誘電<6976>は市場予想を上回る決算を受けて急伸し、村田製<6981>など他の電子部品株にも買いが波及。また昭電工<4004>や東海カーボ<5301>も上昇が目立ったが、日カーボン<5302>の好決算が見直しのきっかけになったようだ。日カーボンはストップ高水準で前場を折り返した。その他決算発表銘柄では長谷工<1808>、ルネサス<6723>が大きく買われた。一方、ソニー<6758>や武田薬<4502>は利益確定売り優勢。資生堂<4911>は市場予想を下回る決算を受けて売りがかさむ場面があった。JXTG<5020>は自社株買いを発表したものの、材料出尽くし感から6%近く下落した。セクターでは、機械、繊維製品、倉庫・運輸関連業などが上昇率上位で、その他も全般堅調。下落したのは石油・石炭製品、不動産業の2業種のみだった。
円相場が1ドル=110円台まで下落したこと、春節(旧正月)の連休明けの中国・上海総合指数が堅調だったことなどが支援材料となり、本日の日経平均は急反発している。電子部品の太陽誘電やトラックのいすゞ<7202>など、外需減退への警戒感が強まっていた企業で好決算が相次いだことも投資家の物色意欲を刺激しているものとみられる。前週末にも指摘したとおり、日経平均の予想PER(株価収益率)は12倍を下回っており、市場では「日本株は必要以上に売り込まれてきた」との声が多く聞かれる。ひとまず節目の20000円接近からの反発力が確認できたことはポジティブに捉えられる。
しかし、今週は米中で経済指標の発表が相次ぐため、世界経済の減速懸念が再び台頭してくる可能性がある。その他にも14日からの米中閣僚級協議、15日の米つなぎ予算失効期限など重要イベントが多く、連休明けの買いがどこまで続くかは慎重に見極める必要があるだろう。
(小林大純)
<AK>
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