26日の米株式市場及び欧州株式市場はクリスマスの振替休日で休場。手掛かり材料難と見られたが、中国政府が新型コロナ対策として入国者に義務付けてきた隔離措置を来年1月8日から撤廃すると発表したことを好感し、日経平均は164.91円高からスタート。寄り付き直後は買い先行で26620.49円(214.62円高)まで上昇したが、戻り待ちの売りから失速。ただ、下落に転じることはなく、その後は再び緩やかに上げ幅を広げる展開となった。
個別では、三菱UFJ<8306>、三井住友<8316>、りそなHD<8308>の銀行、第一生命HD<8750>、T&DHD<8795>の保険が堅調。メルカリ<4385>、エムスリー<2413>、リクルートHD
<6098>などのグロース株もしっかり。中国でのコロナ規制緩和を受けてリオープン・インバウンド関連が軒並み大幅高となっており、JAL<9201>、ANA<9202>、JR西<9021>、JR東海<9022>のほか、マツキヨココ<3088>、パンパシHD<7532>、共立メンテナンス
<9616>、日本空港ビルデング<9706>などが上昇。高島屋<8233>は好決算と通期計画の上方修正も加わり急伸。三越伊勢丹<3099>、Jフロント<3086>も連れて大幅高。資生堂
<4911>、コーセー<4922>などの化粧品関連も軒並み急伸している。米イーライリリーとライセンス契約を締結したペプチドリーム<4587>は急騰。
一方、東エレク<8035>、ソニーG<6758>、アドバンテスト<6857>、信越化<4063>、ディスコ<6146>、ファナック<6954>、ダイキン<6367>など値がさ株やハイテク株で軟調なものが散見される。また、為替の動きに大きな変化はないが、トヨタ自<7203>、ホンダ<7267>、日産自<7201>、デンソー<6902>など輸送用機器が全般冴えない。業績予想を下方修正したパンチ工業<6165>、配当を増額も株主優待制度の一部を廃止したVTHD<7593>、今期減益見通しを示した象印マホービン<7965>、好決算ながらも出尽くし感が先行したしまむら<8227>、などが下落。商品棚卸の計上ミスで第1四半期業績を遡及修正したシルバーライフ<9262>は急落している。
セクターでは、空運、小売、陸運が上昇率上位となった一方、輸送用機器、電気・ガス、機械が下落率上位となった。東証プライム市場の値上がり銘柄は全体の76%、対して値下がり銘柄は19%となっている。
海外市場が休場の中にもかかわらず、日経平均はしっかり続伸し、26500円を回復してきている。中国でのゼロコロナ政策の緩和が大きな支援要因になったもようだ。一方、先週までの大幅下落を踏まえれば、戻りとしてはまだ動きが弱く、買い戻しの機運が強いとはいえない。
中国のコロナ規制緩和についても手放しでは喜べない。有効性の高いワクチンの接種率が低い中国では、規制緩和の代償として感染者が拡大しており、医療機関の需給が逼迫しているほか、各地の薬局で在庫不足が発生、学校の休校が相次ぐなど社会的な混乱が起きている。暗いトンネルの出口に向けた動きを歓迎しつつも、まだ予断を許さないだろう。東京市場が休場の間の31日には中国国家統計局がまとめる製造業・非製造業の購買担当者景気指数(PMI)が、1月2日には民間版の財新製造業PMIがそれぞれ発表される。数字としては低調な結果が予想され、年明けの東京市場への影響などにも注意しておきたい。
また、中国発の明るいニュースでインバウンド関連銘柄が賑わっている中、主力のハイテク株などは冴えないものが多い。自動車関連も為替の円高進行が一服しているにもかかわらず、本日は下落しているものが多い。こうした辺りに、強気に転じ切れていない慎重な投資家心理が透けて見える。世界経済の景気後退に対する懸念を完全に織り込み切ったというにはまだ早く、今後も慎重なスタンスで臨みたい。
(仲村幸浩)
<AK>
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