20日の米株式市場でNYダウは464ドル安と大幅続落し、およそ1年2カ月ぶりの安値となった。前の日の連邦公開市場委員会(FOMC)での利上げやパウエル連邦準備理事会
(FRB)議長の会見内容が嫌気されてアジア・欧州株が大幅下落し、米株式市場でも売りが先行。トランプ大統領が2019年2月までのつなぎ予算案に署名しない意向が伝わると、政府機関閉鎖への警戒感から下げ幅を広げた。日経平均は前日、FOMC結果を受けて595円安と大きく下落していたが、本日も米株安や為替の円高を嫌気して82円安からスタートした。寄り付き後しばらくは20200~20300円水準でのもみ合いが続いていたが、前引けにかけて弱含み、節目の20000円近辺まで下落する場面があった。東証1部銘柄の96%が下落する全面安の展開だった。
個別では、任天堂<7974>が4%超、ソニー<6758>やユニファミマ<8028>が5%超下落したほか、ソフトバンクG<9984>、ファーストリテ<9983>、トヨタ自<7203>など売買代金上位は全般軟調。ユニファミマはドンキHD<7532>に対する株式公開買付け(TOB)が不調に終わり、経営戦略の再考を迫られるなど先行き不透明感が強まった。また、投資家心理の悪化で中小型株が引き続き大きく売られており、アイエスビー<9702>やDI<4310>などが東証1部下落率上位に顔を出した。一方、直近上場のソフトバンク<9434>が4%高と大幅続伸。前日の株価が安寄り後に切り返したことで、目先のリバウンドに期待した買いが向かったようだ。武田薬<4502>や東エレク<8035>、TDK<6762>も逆行高。また、来春の清涼飲料値上げを発表したコカBJH<2579>が東証1部上昇率トップとなり、サントリーBF<2587>や伊藤園<2593>も大きく買われた。セクターでは、その他金融業、海運業、その他製品などが下落率上位で、その他も全般軟調。空運業のみ上昇した。
米FOMC通過後のあく抜け期待も消え、日経平均は節目の20000円割れが視野に入ってきた。実際に20000円を割り込んだ場合、予想PER11倍程度となる19590円、あるいはPBR1倍程度となる19240円までの調整が意識される可能性がある。米国では利上げの影響に加え、つなぎ予算案を巡るトランプ氏と議会の対立やマティス国防長官の辞任を受けて政権運営に対する懸念が強まっている。後場に入れば日銀による上場投資信託(ETF)
買い入れ観測が支えとなるものの、積極的な買いが入りにくいだけに、上述したようなシナリオも念頭に置いておく必要があるだろう。
新興市場ではマザーズ指数が5%を超える下落となり、取引時間中としては2016年11月以来、およそ2年1カ月ぶりに800ptを割り込んだ。IPO銘柄では売りがかさむ一方、買いが入らず初値が付かないケースも出てきており、個人投資家のマインド悪化や買い余力低下が鮮明となっている。ひとまず外部環境の落ち着きを待ちたいところだ。
(小林大純)
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