前日の米国株式市場では主要株価指数は高安まちまち。3月消費者物価指数は市場予想を小幅に上回ったが米連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策方針を大きく変更する程ではないとの見方が優勢で、過度なインフレ懸念が後退。長期金利も低下し、ナスダック総合指数が大幅に上昇するなどハイテク株が堅調に推移した。一方、当局がジョンソン・エンド・ジョンソン製造の新型コロナワクチン接種中断を勧告したことから経済活動再開ペースの鈍化が懸念され、NYダウは続落。ただ、政府が全国民への供給に十分なワクチンを確保していることが明らかになると、警戒感が後退して下げ幅は小幅に留まった。
好悪材料が入り混じるなか前日に200円超上昇していた日経平均は33円安でスタートすると、そのまま下げ幅を180円超まで拡げる場面がみられた。手掛かり材料に乏しいなか、2月の機械受注統計において民間設備投資の先行指標である「船舶・電力を除く民需」の受注額が、前月比で増加を見込んでいた市場予想に反して大幅にマイナスとなったことが重しとなったとの指摘も聞かれた。ただ、その後は下げ渋り、もみ合いながらも、じりじりと下げ幅を縮小する展開となった。
個別では、業績関連のリリースがネガティブ視されたところで、Jフロント<3086>、リテールパートナーズ<8167>、クリレスHD<3387>、東名<4439>などが大幅に下落した。一方、反対に業績関連のリリースがポジティブ視されたセラク<6199>、イージェイHD<2153>、フィルカンパニー<3267>、黒谷<3168>などが急伸。また、投資判断の格上げを材料に日本製鉄<5401>がしっかり、外資証券による新規の買い推奨を受けた日本電子<6951>はストップ高となっている。そのほか、「米投資ファンドのコールバーグ・クラビス・ロバーツ(KKR)がCVCの提案を上回る金額で買収提案を計画している」と報じられた東芝<6502>が改めて大幅高に。
売買代金上位では、ソフトバンクG<9984>、ファーストリテ<9983>、トヨタ<7203>、日本電産<6594>、三菱UFJ<8306>、グレイステクノロジー<6541>、ファーマフーズ<2929>などが安い。自動車関連は対ドルでの為替の円高が、金融関連は米長期金利の低下がそれぞれ重しとなっているもよう。一方、ビットコイン価格の堅調推移を背景にマネックスG<8698>がしっかり、そのほか、米長期金利の低下が好感される形で半導体などハイテク株やグロース(成長)株も堅調なものが多い。売買代金上位では、レーザーテック<6920>、東京エレクトロン<8035>、エムスリー<2413>、キーエンス<6861>、ソニーグループ<6758>、楽天グループ<4755>など。
セクターでは、繊維製品、非鉄金属、パルプ・紙、海運業、電気・ガス業などが下落率上位に並んでいる。一方、精密機器、鉄鋼、電気機器、陸運業の4業種が上昇している。東証1部の値上がり銘柄は全体の27%、対して値下がり銘柄は68%となっている。
市場の外部環境に大きな変更はなく、日米ともに完全に企業決算を見極める局面に入ったようだ。上述したように、前日に、米疾病対策センター(CDC)などが血栓が生じる事例が報告されたとしてジョンソン・エンド・ジョンソン製ワクチンの接種中断を勧告した。ただ、政府は今回の接種中断が政権のワクチン計画に大きな影響を与えることはないとの見方を示し、バイデン米大統領も「計画に疑う余地はない」と語ったとのこと。そのほか、ファイザーのCEOが、5月末までの米国内でのワクチン供給を10%増量できると表明したほか、モデルナは、自社製ワクチンが6カ月後も90%を超える有効性を維持したという最新の分析結果を示した。こうしたことから、ワクチン接種のペース加速による景気回復というメインシナリオは崩れていないようだ。
また、注目されていた米3月消費者物価指数は前年同月比2.6%増と、市場予想(同2.5%増)を小幅に上回る程度で、FRBの金融政策方針に当面大きな変更はないとの見方が支配的となり、市場に安心感をもたらした。米10年物国債利回りも1.6%台前半へと低下した。株式市場の先行き警戒感を示すボラティリティー(変動率)・インデックスについても、米VIX指数および日経平均VIともに16pt台と、警戒水準の20ptを大きく下回った安定推移が継続している。
このように、ワクチン普及による経済活動正常化というファンダメンタルズの好転、そして、FRBによる大規模金融緩和の継続というマクロ政策の維持にもとづく良好な外部環境に大きな変化はない。そうした中、米国では今夜からJPモルガン・チェース、ゴールドマン・サックスなどの大手金融企業の決算が控えており、日本国内でも今月末からの製造業本決算の前に、本日大引け後には内需系企業の決算ラッシュが控えている。
市場は、完全に決算見極めモードに入っており、売買高も膨らみにくいなか、指数はこう着感を強める一方だ。しかし、東証全体での騰落率上位の銘柄をみていると、好業績リリースの銘柄が大幅上昇している一方で、失望的な決算は発表した銘柄が大きく下落するなど、決算内容には素直に反応しているものが多い様子。先日の安川電機<6506>の決算だけをみると、決算内容に素直に反応しにくく、ハードルが高いものとも窺えたが、先んじて織り込み、株価が上場来高値圏にある銘柄でなければ、反応はストレートのものが多いようだ。
手掛かり材料が業績リリース関連に限られるなか、好業績が発表された銘柄には瞬間的な上昇だけでなく、断続的な買いが入る可能性がありそうだ。決算内容が良かった銘柄に対してはやや押したところを素直に拾う順張り的な戦略が奏功しやすいかもしれない。
<AK>
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