5日の米株式市場でNYダウは反発し、167ドル高となった。この日行われたジョージア州の上院決選投票への警戒感から下落する場面もあったものの、12月のサプライマネジメント協会(ISM)製造業景況指数が2018年8月以来の高水準を記録し、景気見通しの改善により押し目買いが入った。原油価格の上昇も相場を押し上げた。一方、東京市場ではジョージア州の投票結果を見極めたいとするムードや、新型コロナウイルス感染拡大への懸念が根強く、本日の日経平均は55円安からスタート。朝方には米株高を支えにプラス圏へ浮上する場面もあったが、上値追いの動きは乏しく、前場中ごろに一時27032.92円(125.71円安)まで下落するなどやや方向感に乏しい展開だった。
個別では、ファーストリテ<9983>、ソニー<6758>、東エレク<8035>などが軟調。ファーストリテは12月の国内「ユニクロ」既存店売上高が前年同月比6.2%増となったが、物足りないとの見方が多いようだ。任天堂<7974>やエムスリー<2413>は小安い。
また、レノバ<9519>など再生可能エネルギー関連銘柄の下げが目立ち、グリムス<3150>やイーレックス<9517>が東証1部下落率上位に顔を出している。一方、ソフトバンクG<9984>が堅調で、ZHD<4689>は5%近い上昇。良品計画<7453>は堅調な12月既存店売上高が好感され、5%の上昇となっている。原油高を受けて国際帝石<1605>なども上げが目立つ。また、ヴィアHD<7918>などが東証1部上昇率上位に顔を出している。
セクターでは、電気機器、化学、食料品など5業種が下落。半面、鉱業、海運業、石油・石炭製品などが上昇率上位だった。東証1部の値下がり銘柄は全体の27%、対して値上がり銘柄は68%となっている。
前日の米国株が製造業景況感の改善を受けて反発したのに対し、本日の日経平均は伸び悩む展開となっている。ただ、これはファーストリテや東エレクといった値がさ株の下落による影響が大きい。東証1部の値下がり銘柄は全体の3割弱、また値下がり業種は5にとどまっている。一方、値上がり銘柄は7割近く、東証株価指数(TOPIX)は0.34%の上昇で前場を折り返した。業種別騰落率の上昇率上位は景気敏感セクターが占めており、東京市場でも米景気の回復期待が追い風となっていることが窺える。
日経平均の日足チャートに目を向けると、27000円台をキープして底堅い印象。これまで下値支持線として機能してきた25日移動平均線が接近していることも意識されそうだ。一方で、本日の前場はプラス圏に浮上する場面こそあったものの、前日高値(2
7279.78円)はやや遠く、やはり上値の重い印象も拭えない。
昨年11月の米大統領選を境に株式市場の環境が一変したことを踏まえると、米政治情勢の影響は大きく、ジョージア州の投票結果を見極めたいとするムードも根強いのだろう。改めて確認しておくと、この上院決選投票で民主党が2議席を確保すると、事実上、民主党が大統領と上下院を握る「ブルーウェーブ」が実現する。ただ、投票日直前の世論調査では共和党候補が盛り返すなど、支持率は拮抗。再生エネ関連銘柄からの資金逃避などを見ると、米議会の勢力図が固まるまで物色動向も定まりにくいだろう。
また、米国では引き続きADP雇用統計(6日)、ISM非製造業景況指数(7日)、雇用統計(8日)と12月経済統計の発表が目白押しだ。新型コロナの影響が強い非製造業の景況感、また金融政策への影響が大きい雇用関連統計も注目され、これらの内容を見極めたいところではある。
世界銀行は5日、2021年の世界経済の成長率予測を4.0%(昨年6月時点では4.2%)
と発表。ただ、「不確実性は著しく高い」とし、新型コロナワクチンの遅れなどがあれば大きく下押しする可能性も示している。結局、景気の先行きに関してはワクチン次第といった印象は拭えない。
足元上値を試す局面とは言いづらく、後場の日経平均ももみ合いとなりそうだ。個別の物色も循環的なものとなるだろう。
(小林大純)
<AK>
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