週明け9日の米株式市場でNYダウは4日続伸し、38ドル高となった。ムニューシン財務長官がテレビインタビューで米中貿易協議の進展に言及。関連銘柄を中心に買いが入り、長期金利の上昇に伴い金融株も値を上げた。ただ摩擦解消への懐疑的な見方や、12日に開催される欧州中央銀行(ECB)理事会の結果を見極めたいとの思惑から上値は重かった。ナスダック総合指数は続落。一方、円相場は1ドル=107円台前半と弱含みで推移しており、取引開始前に「トランプ米大統領が中国と来週協議すると述べた」などと報じられたこともあり、本日の日経平均は45円高からスタートした。朝方には21438.35円(119.93円高)まで上昇する場面があったが、高値警戒感から利益確定の売りも出て伸び悩む展開となった。東証1部の値上がり銘柄は全体の6割強、対して値下がり銘柄は3割強となっている。
個別では、米市場の流れを引き継いで三菱UFJ<8306>や三井住友<8316>、みずほ<
8411>といったメガバンク株が揃って堅調。西川社長の辞任を発表した日産自<7201>は3%超上昇した。その他売買代金上位ではソフトバンクG<9984>、トヨタ自<7203>、ファーストリテ<9983>などがしっかり。ソフトバンクGは出資する米シェアオフィス大手に上場延期を要請していると報じられた。また、米航空機リース会社の子会社化を発表した東京センチュ<8439>が急伸し、ノムラシステム<3940>などとともに東証1部上昇率上位に顔を出した。一方、ここまで強い値動きが続いていたソニー<6758>や任天堂<7974>は利益確定売り優勢で、OLC<4661>は4%近い下落。第一三共<4568>は新型抗がん剤の国内承認申請に伴う材料出尽くし感などから7%安となった。また、ライク
<2462>などが東証1部下落率上位に顔を出した。セクターでは、石油・石炭製品、銀行業、証券などが上昇率上位。反面、医薬品、サービス業、精密機器などが下落率上位だった。
米中協議の進展期待から金融市場ではリスク回避ムードの後退が続き、日経平均は本日も上げ幅を3ケタに広げる場面があった。ただ前日と異なり、買い一巡後は失速感がやや強い。日経平均は前日までの5営業日で700円近く上昇。前週末にも指摘したとおり、8月初めに急落する前は21000円台でもみ合う場面が多かったため、目先の利益を確保する売りが出やすいところだろう。トランプ氏の一声で状況が一変することへの警戒感、来週にかけて開かれる日米欧の金融政策決定会合の結果を見極めたいとの思惑なども強いようだ。個別株を見ても、これまで物色の柱となっていたソニーや任天堂、OLC、医薬品株の一角に高値警戒感から利益確定の売りが出ている。ここから先も一本調子の株高が続くかどうかについて、やや懐疑的な投資家が多いことが窺える。
反面、米長期金利の上昇で金融株が買われ、原油高を受けて石油元売り大手などの関連銘柄も上げが目立つ。これらはいずれも株価の出遅れ感が強いセクターである。
日経平均は目先、上げ一服が意識される一方で、米中協議や各国・地域の金融緩和への期待から大きく崩れる展開も想定しにくい。21000円台での値固めが続くようなら、個別株・セクターでは高値警戒感が台頭してきた銘柄から出遅れ銘柄への資金シフトが見込まれる。
(小林大純)
<AK>
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