前週末17日の米国株式市場のダウ平均は1.81ドル高と小幅高、S&P500は5.78ポイント高(+0.13%)、ナスダック総合指数は11.81ポイント高(+0.08%)も小幅に上昇。住宅着工件数が予想を上回りソフトランディング期待が下支えとなったが、連邦準備制度理事会(FRB)の高官が引き続き追加利上げの選択肢も除外しない慎重な姿勢を再表明し、一時下落に転じた。しかし、市場の利上げ終了観測も根強く、金利が安定したため終盤にかけてプラス圏に回復した。売り買いが交錯する展開となった米株市場を受けて、日経平均は前週末比25.58円安の33559.62円と小反落でスタートした。その後プラス圏に浮上したものの、失速して前日終値付近でもみ合う展開となっている。
個別では、東エレク<8035>やソシオネクスト<6526>などの一部の半導体関連株、三菱商事<8058>や三井物産<8031>などの商社株の一角も軟調に推移した。また、トヨタ自<7203>やホンダ<7267>などの自動車関連株のほか、アドバンテ<6857>、ソニーG<6758>、キーエンス<6861>、任天堂<7974>、日本製鉄<5401>、信越化<4063>なども下落した。ほか、自然災害ロス増加などで業績予想を下方修正したMS&AD<8725>が大幅下落、戸田建設<1860>、マツダ<7261>、オカムラ<7994>などが値下がり率上位となった。
一方、三菱UFJ<8306>や三井住友<8316>などの金融株の一角が堅調に推移。また、ソフトバンクG<9984>、ファーストリテ<9983>、TOWA<6315>、ディスコ<6146>、伊藤忠<8001>なども上昇した。今期最終益予想引き上げと自社株買い実施を発表した東京海上<8766>や自動車部品子会社の売却をポジティブ視されたパナHD<6752>が大幅高、ヨシックスホールディングス<3221>、テラスカイ<3915>、パソナグループ<2168>が値上がり率上位となった。
セクターでは、輸送用機器、その他製品、電気・ガス業などが下落率上位に並んでいる一方で、保険業、機械、鉱業などが上昇率上位に並んだ。東証プライム市場の値上がり銘柄は40%、対して値下がり銘柄は56%となっている。
本日の日経平均は売り買いが交錯する展開となっている。寄り付き後早い段階でプラス圏に浮上すると、6月19日につけていた年初来高値(33772.89円)を上回ってバブル崩壊後の最高値を更新した。ただ、買い一巡後は直近の過熱感から失速、前場中ごろからは前週末終値付近でもみ合う展開となった。前週から米連邦準備制度理事会(FRB)による高金利政策の打ち止め期待が前進し、2024年1-2月までの米つなぎ予算が成立する見通しとなったことで、目先の懸念材料が大きく後退した。ただ、今週は21日に11月米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨の発表を控えているほか、日米ともに23日が祝日となることから、積極的な売買は手控えられやすいとみられている。
さて、後場の日経平均は引き続きこう着感の強い値動きが続くか。アジア市況も、香港ハンセン指数が堅調に推移する一方で上海総合指数が下落しており、強弱入り混じる展開となっている。過度な下値不安となる材料に乏しい一方で、今週は立ち合い日数4日間となり市場エネルギーの減退も予想される。他方で、新興市場には旺盛な物色が向かっている。米国の金融政策に影響が大きい経済指標や労働統計の発表は見当たらず、企業決算の発表が一巡するなか、中小型株に注目が集まっているようだ。後場も、東証プライム市場の主力株がさえない値動きとなると、業績が順調な拡大基調にあるが前週株価が下落した新興株などに押し目買いが入りやすくなる可能性があろう。
(山本泰三)
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