17日の後場の取引では以下の3つのポイントに注目したい。
・日経平均は反落、FOMC結果や新政権への期待は織り込み済みとの見方も
・ドル・円は小じっかり、ドルの買戻しで
・値下がり寄与トップはファーストリテ<9983>、同2位がエムスリー<2413>
■日経平均は反落、FOMC結果や新政権への期待は織り込み済みとの見方も
日経平均は反落。174.07円安の23301.46円(出来高概算5億5786万株)で前場の取引を終えている。
前日16日の米国株式相場はまちまち。ダウ平均は36.78ドル高の28032.38ドル、ナスダックは139.86ポイント安の11050.47ポイントで取引を終了した。FOMCでのハト派姿勢を期待して、寄り付きから堅調に推移した。予想通り大規模緩和策を据え置き、2023年末までゼロ金利を予想していることが明らかになると上げ幅を拡大した。しかし、パウエルFRB議長が会見で現行の資産購入規模が適切であるとし、「現行のガイダンスは極めて強力」との考えを示すと追加緩和期待が後退し、引けにかけては上げ幅を縮小した。
米国株式相場を受けた今日の東京株式市場は売り優勢の展開となった。昨日のFOMCの結果発表は市場の安心感となったが、米株式市場でダウ平均が取引終了にかけて急速に伸び悩んだことから、東京株式市場での株価押上げ効果は限定的だった。また、昨日は菅内閣が発足し菅首相はじめ新閣僚が記者会見に臨み、菅政権の政策に期待する向きはあるものの、新閣僚の顔ぶれは昨日日中までに概ね報じられており、一旦、材料出尽くしと見る向きもあった。さらに、外為市場で1ドル=105円00銭近辺と昨日午後の円の高値よりさらに20-30銭ほど円高・ドル安に振れたことも買い手控え要因となった。なお、きょう東証1部に上場した雪国まいたけ<1375>は公開価格2200円を100円(4.5%)下回る2100円で初値を付けた。
個別では、JR東<9020>と資本業務提携すると発表した千趣会<8165>がストップ高買い気配となり、第1四半期連結営業利益が前年同期比2.0倍となったアスクル<2678>が10%を超す大幅高となったほか、第1四半期連結営業利益が前年同期比3.2倍となったコーセル<6905>、共同開発先がQRコードセキュリティの提供開始を発表した佐鳥電機<7420>、菅首相が不妊治療への保険適用実現に改めて意欲を示したことが手掛かり材料となったあすか製薬<4514>、21年3月期上半期(中間期)業績予想を上方修正したアルプス物流<9055>が上げた。
一方、求人広告需要の低迷長期化を見込み国内証券が目標株価を下げたディップ<2379>、東証と日証金が信用取引に関する臨時措置を実施すると発表した福島銀行<8562>、21年3月期の連結営業損益が赤字予想と発表したJR東<9020>、JR西<9021>が下げた。
セクターでは、海運業、倉庫運輸関連、銀行業、繊維製品、その他金融業などが値上がり率上位。一方、陸運業、鉄鋼、空運業、非鉄金属、ゴム製品などが値下がり率上位だった。東証1部の値上がり銘柄は全体の34%、対して値下がり銘柄は59%となっている。
昨日から今日にかけて、注目の記者会見が相次いでいる。ごく簡単に見ておこう。まず、菅首相の記者会見。これまでの金融財政政策が継続されるのかどうかが焦点だったが、菅首相は、金融緩和、財政支出、成長戦略の3本を柱とする「アベノミクス」を継承することを明言した。想定内とは言え株式市場にとって最大級の支援要因だろう。財政政策を担う麻生財務・金融相は会見で「財政や財政投融資を活用し、景気を戻していくのが今の大きな要素だ」と述べており、また、黒田日銀総裁の任期は2023年まで続くことから、現場レベルでも従来の金融財政政策には殆ど変化がないと見て良いだろう。
次に米国。FOMCでは少なくとも2023年末までゼロ金利政策を維持する方針が表明された。パウエルFRB議長もFOMC後の会見で低金利政策を続けると約束した。これまでの緩和政策が継続することとなる。
FOMCの結果発表を受け、昨日の米国株式市場でダウ平均は一旦上昇したものの、取引終了にかけて伸び悩んだ。一部では、FOMC参加者の経済見通しが前回公表時よりも弱かったことが警戒されたとの見方もあるようだが、これは株式市場にとってはむしろ好材料かもしれない。経済見通しが強気であれば追加緩和の余地が小さくなるが、経済の先行きに警戒感が高まるほどに追加緩和の可能性が高くなる。新型コロナにより経済見通しが総悲観とも言える今年3月に今回の株高が始まったことを思い起こしたい。
再び日本。今日午後は黒田日銀総裁の記者会見が予定されている。金融緩和策の維持や菅政権との協調姿勢が示されると見られている。注目しておきたい。
さて、後場の東京株式市場で日経平均はもみ合いとなりそうだ。FOMCや新内閣発足に関連した材料は株価に次第に織り込まれてきている。その中で、今日15時30分に予定されている黒田日銀総裁の会見内容を確認したいとのムードが広がり、積極的な売買が見送られる可能性もありそうだ。ただ、前場のTOPIXの下落率が0.51%で、日銀によるETF買いの思惑が働く可能性もある。
■ドル・円は小じっかり、ドルの買戻しで
17日午前の東京市場でドル・円は小じっかり。米連邦公開市場委員会(FOMC)での緩和的な政策方針はほぼ想定通りとなり、ドルが他の主要通貨に対して買い戻された。一方、日銀は金融政策決定会合で現行の緩和的な金融政策の維持を決定し、円買いを抑制している。
ここまでの取引レンジは、ドル・円は104円88銭から105円17銭、ユーロ・円は123円53銭から124円09銭、ユーロ・ドルは1.1760ドルから1.1819ドル。
■後場のチェック銘柄
・アスコット<3264>、ワタベウェディング<4696>など、7銘柄がストップ高
※一時ストップ高(気配値)を含みます
・値下がり寄与トップはファーストリテ<9983>、同2位がエムスリー<2413>
■経済指標・要人発言
【経済指標】
・NZ・4-6月期GDP速報値:前年比-12.4%(予想:-12.8%、1-3月期:-0.1%←-0.2%)
・豪・8月失業率:6.8%(予想:7.7%、7月:7.5%)
・豪・8月雇用者数増減:+11.10万人(予想:-3.5万人、7月:+11.92万人←+11.47万人)
【要人発言】
・トランプ米大統領
「新型コロナウイルス対策の追加経済法案の合意が近づいている」
「ワクチン開発は米疾病対策センター(CDC)の議会報告よりも早く実現可能」
・日銀(声明)
「景気は持ち直しつつある」
「新型コロナウイルスの影響を注視し、必要ならちゅうちょなく追加緩和」
<国内>
・日銀金融政策決定会合(最終日)
・15:30 黒田日銀総裁会見
<海外>
・15:00 英中銀が政策金利発表(0.10%に据え置き予想)
<HH>
・日経平均は反落、FOMC結果や新政権への期待は織り込み済みとの見方も
・ドル・円は小じっかり、ドルの買戻しで
・値下がり寄与トップはファーストリテ<9983>、同2位がエムスリー<2413>
■日経平均は反落、FOMC結果や新政権への期待は織り込み済みとの見方も
日経平均は反落。174.07円安の23301.46円(出来高概算5億5786万株)で前場の取引を終えている。
前日16日の米国株式相場はまちまち。ダウ平均は36.78ドル高の28032.38ドル、ナスダックは139.86ポイント安の11050.47ポイントで取引を終了した。FOMCでのハト派姿勢を期待して、寄り付きから堅調に推移した。予想通り大規模緩和策を据え置き、2023年末までゼロ金利を予想していることが明らかになると上げ幅を拡大した。しかし、パウエルFRB議長が会見で現行の資産購入規模が適切であるとし、「現行のガイダンスは極めて強力」との考えを示すと追加緩和期待が後退し、引けにかけては上げ幅を縮小した。
米国株式相場を受けた今日の東京株式市場は売り優勢の展開となった。昨日のFOMCの結果発表は市場の安心感となったが、米株式市場でダウ平均が取引終了にかけて急速に伸び悩んだことから、東京株式市場での株価押上げ効果は限定的だった。また、昨日は菅内閣が発足し菅首相はじめ新閣僚が記者会見に臨み、菅政権の政策に期待する向きはあるものの、新閣僚の顔ぶれは昨日日中までに概ね報じられており、一旦、材料出尽くしと見る向きもあった。さらに、外為市場で1ドル=105円00銭近辺と昨日午後の円の高値よりさらに20-30銭ほど円高・ドル安に振れたことも買い手控え要因となった。なお、きょう東証1部に上場した雪国まいたけ<1375>は公開価格2200円を100円(4.5%)下回る2100円で初値を付けた。
個別では、JR東<9020>と資本業務提携すると発表した千趣会<8165>がストップ高買い気配となり、第1四半期連結営業利益が前年同期比2.0倍となったアスクル<2678>が10%を超す大幅高となったほか、第1四半期連結営業利益が前年同期比3.2倍となったコーセル<6905>、共同開発先がQRコードセキュリティの提供開始を発表した佐鳥電機<7420>、菅首相が不妊治療への保険適用実現に改めて意欲を示したことが手掛かり材料となったあすか製薬<4514>、21年3月期上半期(中間期)業績予想を上方修正したアルプス物流<9055>が上げた。
一方、求人広告需要の低迷長期化を見込み国内証券が目標株価を下げたディップ<2379>、東証と日証金が信用取引に関する臨時措置を実施すると発表した福島銀行<8562>、21年3月期の連結営業損益が赤字予想と発表したJR東<9020>、JR西<9021>が下げた。
セクターでは、海運業、倉庫運輸関連、銀行業、繊維製品、その他金融業などが値上がり率上位。一方、陸運業、鉄鋼、空運業、非鉄金属、ゴム製品などが値下がり率上位だった。東証1部の値上がり銘柄は全体の34%、対して値下がり銘柄は59%となっている。
昨日から今日にかけて、注目の記者会見が相次いでいる。ごく簡単に見ておこう。まず、菅首相の記者会見。これまでの金融財政政策が継続されるのかどうかが焦点だったが、菅首相は、金融緩和、財政支出、成長戦略の3本を柱とする「アベノミクス」を継承することを明言した。想定内とは言え株式市場にとって最大級の支援要因だろう。財政政策を担う麻生財務・金融相は会見で「財政や財政投融資を活用し、景気を戻していくのが今の大きな要素だ」と述べており、また、黒田日銀総裁の任期は2023年まで続くことから、現場レベルでも従来の金融財政政策には殆ど変化がないと見て良いだろう。
次に米国。FOMCでは少なくとも2023年末までゼロ金利政策を維持する方針が表明された。パウエルFRB議長もFOMC後の会見で低金利政策を続けると約束した。これまでの緩和政策が継続することとなる。
FOMCの結果発表を受け、昨日の米国株式市場でダウ平均は一旦上昇したものの、取引終了にかけて伸び悩んだ。一部では、FOMC参加者の経済見通しが前回公表時よりも弱かったことが警戒されたとの見方もあるようだが、これは株式市場にとってはむしろ好材料かもしれない。経済見通しが強気であれば追加緩和の余地が小さくなるが、経済の先行きに警戒感が高まるほどに追加緩和の可能性が高くなる。新型コロナにより経済見通しが総悲観とも言える今年3月に今回の株高が始まったことを思い起こしたい。
再び日本。今日午後は黒田日銀総裁の記者会見が予定されている。金融緩和策の維持や菅政権との協調姿勢が示されると見られている。注目しておきたい。
さて、後場の東京株式市場で日経平均はもみ合いとなりそうだ。FOMCや新内閣発足に関連した材料は株価に次第に織り込まれてきている。その中で、今日15時30分に予定されている黒田日銀総裁の会見内容を確認したいとのムードが広がり、積極的な売買が見送られる可能性もありそうだ。ただ、前場のTOPIXの下落率が0.51%で、日銀によるETF買いの思惑が働く可能性もある。
■ドル・円は小じっかり、ドルの買戻しで
17日午前の東京市場でドル・円は小じっかり。米連邦公開市場委員会(FOMC)での緩和的な政策方針はほぼ想定通りとなり、ドルが他の主要通貨に対して買い戻された。一方、日銀は金融政策決定会合で現行の緩和的な金融政策の維持を決定し、円買いを抑制している。
ここまでの取引レンジは、ドル・円は104円88銭から105円17銭、ユーロ・円は123円53銭から124円09銭、ユーロ・ドルは1.1760ドルから1.1819ドル。
■後場のチェック銘柄
・アスコット<3264>、ワタベウェディング<4696>など、7銘柄がストップ高
※一時ストップ高(気配値)を含みます
・値下がり寄与トップはファーストリテ<9983>、同2位がエムスリー<2413>
■経済指標・要人発言
【経済指標】
・NZ・4-6月期GDP速報値:前年比-12.4%(予想:-12.8%、1-3月期:-0.1%←-0.2%)
・豪・8月失業率:6.8%(予想:7.7%、7月:7.5%)
・豪・8月雇用者数増減:+11.10万人(予想:-3.5万人、7月:+11.92万人←+11.47万人)
【要人発言】
・トランプ米大統領
「新型コロナウイルス対策の追加経済法案の合意が近づいている」
「ワクチン開発は米疾病対策センター(CDC)の議会報告よりも早く実現可能」
・日銀(声明)
「景気は持ち直しつつある」
「新型コロナウイルスの影響を注視し、必要ならちゅうちょなく追加緩和」
<国内>
・日銀金融政策決定会合(最終日)
・15:30 黒田日銀総裁会見
<海外>
・15:00 英中銀が政策金利発表(0.10%に据え置き予想)
<HH>
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