「上ひげが出現、軸は緩やかに下向き」
日経平均の日足チャートでは上ひげが出現。9000円台にテクニカルの壁が存在しているようであり、この付近での売り圧力の強さを示している。
目先、焦点となるのはファンダメンタルズの壁③の有無。昨日の下落からみて、すでに消滅していると思われ、短期的には「窓・壁理論」通りの動きとなるだろう。つまり、「上方に壁・下方に窓」という位置関係になっており、下方の複数の窓を連鎖的に埋める可能性が高いということだ。
だが、本日、買い先行から予想に反して上方向に動いたのは、軸がそれほど下向きに傾いていないことを示唆している。つまり、昨日の引けにかけての突っ込みで出来た軽いテクニカルの壁の力が、軸の傾きや上方のテクニカルの壁よりも勝ったということである。断面図で示すと以下のようになる。
つまり、軸は緩やかに下向きであるのだが、8850円付近にちょっとした小山が出現したことで、株価を一時的に押し上げたのだ。しかし、9000円以上にはテクニカルの壁とファンダメンタルズの壁が存在しており、上値が抑えられたのである。
だから、目先はこの付近でもみ合い相場となる公算が大きい。新たな材料が出るまで、上下のヤマの間をウロチョロするというわけだ。
しかし、時間が経過すれば、いずれ株価は軸の傾きに従って動くことになる。現時点では「緩やかに下向き」であることから、順番に下方の窓を埋めていくことになるのだ。いずれ4段目の窓(8448.54円―8488.14円)まで下落し、株価は「お里帰り」を果たすだろう。
それは決算発表目白押しの個別銘柄の動向でも分かる。パナソニック(6752)は取引終了後に決算発表を行い、2013年3月期の連結損益を7650円の赤字に大幅下方修正した。市場コンセンサスが370億円程度の黒字だっただけに、このショックは相当なものだろう。シャープ(6753)の体たらくをみれば、ある程度予想できたはずではあるが、改めて個別リスクが意識されそうだ。本日、決算発表を行った海運各社も基本的には下方修正。一時的に上昇する銘柄があっても、所詮それは「売られすぎた反動」にすぎない。中長期的にみれば主力銘柄の株価水準は着実に切り下がっており、いずれ復活不可能な水準まで落ち込むと思われる。
数年前に誰が東電(9501)やシャープ(6753)、そしてNEC(6701)が100円台になると予想しただろうか。板硝子(5202)に至っては、いまや60円台である。見る影もないのである。ファストリ(9983)やソフバン(9984)、そしてファナック(6954)など指数寄与度の大きい銘柄で相場を吊り上げるのもそろそろ限界だ。「日銀がETFを買う」ということはそういうことであり、ある意味「臨界点」に近いのだ。これからは世界的な景気減速を受けて、個別主導で下落する展開になると思われる。トヨタ(7203)がまだ3000円台で推移しているなんて不思議以外の何物でもない。修正余地は十分に残されている。個別銘柄が一つずつ死刑執行台に上がるようなものである。