2024年相場見通し&2023年振り返りと年間ランキング
2023年の東京株式市場は
日経平均株価がバブル経済崩壊後の高値を更新
し、大きな盛り上がりをみせた一年となりました。東京証券取引所による低PBR企業への改善要請や
米著名投資家ウォーレン・バフェット氏の日本株買いをきっかけに、世界の投資マネーが日本に集中
。日経平均は
2万6000~3万3000円
近辺の間で推移しました。
1月上旬
年明け大幅安スタート
日銀の政策転換に対する警戒感や欧米の景気後退懸念により、大発会から大幅安となるなど年明け早々波乱のスタートとなった。
3月上旬~中旬
欧米金融不安
米地銀が破綻。欧州では金融大手クレディ・スイスの経営危機が取り沙汰された。
4月下旬
植田総裁就任後の初会合
植田氏の日銀総裁就任後初の決定会合が開催。従来の金融緩和路線が維持され、市場に安心感が広がった。
6月中旬
バフェット効果で株高
東証の低PBR改善要請や“バフェット効果”を背景に春以降、株高局面が到来。日経平均は33年ぶりの高値圏に浮上した。
7月下旬
日銀YCC柔軟化
日銀がYCCの運用柔軟化を打ち出し、長期金利の上限を事実上引き上げた。
8月中旬
中国不動産懸念が再浮上
中国恒大集団が米破産法を申請。中国の不動産不況への懸念が再浮上した。
10月中旬~下旬
中東リスク警戒
同月7日、イスラム武装組織ハマスがイスラエルを奇襲した。これ以降、中東の地政学リスクに対する警戒感が高まっていった。
11月上旬~中旬
米利上げ打ち止め期待
FRBが政策金利の据え置きを継続。利上げ打ち止め期待から相場が押し上げられた。
2023年相場前半の振り返り 株価に影響を与えたニュースとは
2023年前半の株式相場は
日銀の政策転換に対する警戒感やそれに伴う円高、欧米の景気後退懸念
といったマイナス材料が重しとなり、年明け早々波乱含みでスタートしました。日経平均は大発会の1月4日に大幅安で
2万6000円台割れまで下落
。しかし結果的に、ここが年間で悲観ムードの最も強いポイントとなりました。大発会に年初来安値をつけた後相場は持ち直し、次第に上昇基調を強めていくことになります。3月には
米国で地銀が破綻し、欧州では金融大手クレディ・スイスの経営危機が取り沙汰
されましたが、幸いにも一時的な金融不安にとどまりました。
新年度に入ると、相場は上昇基調を強めました。
東証の低PBR改善要請とバフェット氏の日本株買い
をきっかけに、世界の株式市場の中で相対的に割安な日本株への見直し機運が台頭。植田和男氏が4月に日銀新総裁に就任してから初となる金融政策決定会合で、これまでの
金融緩和路線が維持
されたことも追い風となりました。4月初めに2万8000円前後で推移していた日経平均は6月半ばには
3万3000台まで大きく水準を切り上げ、バブル期以来約33年ぶりの高値圏
に躍り出ました。
年後半は上昇一服、警戒ムード高まる局面も
年後半は春以降の株高の反動で上昇一服。
日経平均は3万円大台を維持し底堅さをみせましたが、上値では3万3000円台後半で頭を押さえられる展開
が続きました。7月には日銀が長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)の運用柔軟化を発表。長期金利の上限を従来の0.5%から1%に事実上引き上げました。8月には中国恒大集団による米連邦破産法の申請に伴い、中国の不動産不況に改めて関心が向かいました。ここまで神経質な地合いが続きましたが、9月に入るといったん持ち直しへ。しかし、10月にかけ再び警戒ムードが浮上。
米国の政府機関閉鎖を巡る動向や、イスラエルとイスラム武装組織との衝突に伴う中東の地政学リスクの高まりが懸念材料
として意識されました。その後は米国での利上げ打ち止め期待を背景に相場は再び上昇しましたが、日銀の政策修正観測がくすぶるなかリスク回避ムードが高まる局面もありました。先行きに不安が残ったまま年末を迎えることになりました。
2024年の相場はどうなる? 焦点は「米大統領選」
さて、2024年の相場はどうなるのでしょうか。中東情勢など地政学リスクに目を向けつつも、マーケットの話題の中心は引き続き
米国の経済動向と金融政策
になるでしょう。米連邦準備制度理事会(FRB)による利下げはいつなのか、米景気のソフトランディングは実現するのか、市場関係者の関心が集まりそうです。日本では、これまで日銀が続けてきた
大規模金融緩和の出口戦略
に関する議論が一段と活発化することが予想されます。折に触れ全体相場は不安定な展開となることが想定されますが、個別では投資家人気の高い
半導体やAI関連のテーマ物色
が続くことでしょう。
政治面では、
11月の米大統領選挙が最大の注目ポイント
となります。与党・民主党と野党・共和党との激しい攻防が繰り広げられ、株式市場もその影響を受けることになるでしょう。日本では秋に予定される自民党総裁選をにらみ、衆議院解散・総選挙の思惑が錯綜することになりそうです。
このほか話題となりそうな投資テーマを押さえておくこともポイントとなります。まずは
株式市場で不動の人気を誇る「半導体」
をはじめ、
各方面で話題が尽きない「AI」、パリ五輪開幕で注目度上昇が見込まれる「スポーツ」、ドライバー不足への対応が急がれる「物流テック」
をチェックしておきましょう。また、引き続き投資家の関心が高い「インバウンド」、不安定な相場環境下で買われやすい「ディフェンシブ」も押さえておきましょう。