21日の米株式市場でNYダウは197ドル高と3日ぶりに反発。米商務省が中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)との取引を事実上禁じる規制について、一部取引に90日間の猶予期間を設けると発表。米中対立の企業業績への影響に対する懸念が和らぎ、前の日に大きく値を下げたハイテク株を中心に買いが入った。円相場は1ドル=110円台半ばへ下落しており、本日の日経平均は米株高や円安を好感し101円高からスタート。朝方に一時21404.54円(132.09円高)まで上昇すると、ファーウェイとの取引禁止の一部猶予は前日の取引時間中に伝わっていたこともあり、伸び悩む場面があった。しかし、前日終値近辺まで調整すると前引けにかけて再び強含んだ。東証1部の値上がり銘柄は全体の6割弱、対して値下がり銘柄は4割弱となっている。
個別では、売買代金トップのソフトバンクG<9984>や任天堂<7974>、ソニー<6758>、村田製<6981>、ファーストリテ<9983>などがしっかり。設備投資関連の安川電<6506>や電子部品の太陽誘電<6976>はやや荒い値動きだったが、前引けではともに3%を超える上昇となった。資生堂<4911>は2%超上昇したが、訪日外国人客数の堅調推移を好感した買いが入ったようだ。また、中国企業との提携が材料視されたアイドマMC<9466>はストップ高水準で前場を折り返した。一方、スズキ<7269>が5%近い下落。インド子会社が反競争的行為に関与したとして当局の調査を受けていると報じられている。キヤノン<7751>やキーエンス<
6861>も軟調で、トヨタ自<7203>は小安い。また、グレイス<6541>などが東証1部下落率上位に顔を出した。セクターでは、非鉄金属、水産・農林業、鉱業などが上昇率上位。反面、陸運業、空運業、海運業などが下落率上位だった。
本日の東京市場では米株高や円安を好感して買いが先行したが、ファーウェイとの取引禁止の一部猶予は前日に織り込み済み。猶予されるのは保守サービスなど一部にとどまるため、米中対立の影響が懸念される状況に変わりはないとの見方もある。アジア市場では中国・上海総合指数が前日終値を挟んだ小動きとなっており、買い材料には乏しいところだ。このところ日経平均は日中値幅こそまずまず出ているものの、日足チャートを見ると2
1200円台に位置する5日移動平均線と21400円台に位置する75日移動平均線の間でこう着感を強めている。
米中対立への懸念が上値の重しとなっていることに加え、23日からは欧州議会選挙、25日からはトランプ米大統領来日と、週後半にも重要イベントが相次ぐため、売りにも買いにも傾きづらいところだろう。日経平均は目先、上記レンジ内でのもち合いが続きそうだ。なお、新興市場ではマザーズ指数が3%近い上昇となっている。週前半はやや弱い動きだったが、日経平均のこう着ムードから個人投資家の物色が中小型株に向かっているようだ。
(小林大純)
<AK>
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