今週の新興市場は反落。強い米9月雇用統計の結果を受けて金融引き締め懸念が高まり、連日で米国株が下落する中、連休明けから東京市場も大幅に下落。その後も米9月卸売物価指数(PPI)の上振れなどによるインフレ長期化に対する警戒感から米長期金利の上昇が続く中、新興株の下落は継続。一方、週末は、米9月消費者物価指数(CPI)の上振れにもかかわらず、売り方の買い戻しで7日ぶりにナスダック総合指数が大幅反発したこともあり、目先の安心感から新興株も大きく買い戻された。ただ、週間の下げ幅を取り戻すには至らなかった。なお、週間の騰落率は、日経平均が−0.09%であったのに対して、マザーズ指数は−1.33%、東証グロース市場指数は−1.32%だった。
個別では、週間でビジョナル<4194>が−5.3%、JTOWER<4485>が−6.9%、Appier Group<4180>が−4.7%、M&A総合研究所<9552>が−7.8%、サンウェルズ<9229>が−9.1%などと、上場来高値圏で値持ちの良かった直近IPO(新規株式公開)も含めて、時価総額上位では下落した銘柄が多かった。一方、ANYCOLOR<5032>は+3.7%、そーせいG<4565>が+3.7%、メドレー<4480>が+5.6%と上昇した銘柄も散見された。ティーケーピー<3479>は上半期好決算が評価されて+5.6%となった。週間の売買代金ランキングではマイクロ波化学<9227>が断トツでトップとなった。物色が集中し上場来高値の更新が続いていたが、週末にかけて利益確定売りに押され、株価は−17.7%安と下落した。
■バイオに相対的に妙味、IPOは2社、BBも進行中
来週の新興市場は弱含みか。今週末14日の米株式市場が大幅反落しており、週明けから売りが先行しそうだ。米9月消費者物価指数(CPI)の大幅な上振れだけでもインパクトがあったが、10月ミシガン大学消費者信頼感指数の期待インフレ率が1年先、5年先と揃って上昇し、インフレ沈静化の兆しが見えない。期待インフレ率の高止まりを警戒する米連邦準備制度理事会(FRB)にとっては受け入れがたい結果で、来週もFRB高官の発言が多く予定されている中、タカ派発言が相次ぎそうだ。米国では、ガソリン価格の再上昇が期待インフレ率の上昇の背景として推察されるが、原油市況も石油輸出国機構(OPEC)らによる減産幅拡大の決定以降、強含みの傾向にある。冬季シーズン突入に伴うエネルギー需要の拡大も想定され、インフレ長期化への警戒感が引き続き金利上昇圧力として働き、バリュエーションの高い新興株の上値を抑制しそうだ。
1日単位で上下に大きく振れる変動率の激しい相場展開が続く中、個人投資家の資金余力も漸減している可能性があり、新興株へのマイナス影響が懸念される。実際、直近は、売買代金上位の銘柄の日中の値動きを見ていると、大きく上昇している銘柄が突如として上昇分を吐き出すという極端な動きが散見されている。週末14日に日経レバETF<1570>を大きく売り越していた個人投資家は、週明けこそは下落相場のなか投資余力の回復が見込まれるが、これまで以上に資金の性格が短期的なものになっていることには注意したい。
最近は比較的値持ちの良かったGA technologies<3491>や、クラウドワークス<3900>、ワンキャリア<4377>といった好業績銘柄でもチャートが崩れ始めており、買いに関してはお手上げに近い状態。消去法的な選択ではあるが、バイオ関連に注目したい。外部環境の不透明感が強い中、東証プライム市場では第一三共<4568>などの医薬品の一角で株価推移が堅調な銘柄が散見されるが、東証グロース市場でもそーせいG<4565>などがしっかり。今週、臨床試験の順調な進捗が確認されたステムリム<4599>なども長期目線では投資妙味が高いとみられ、注目したい。
来週は19日にSBIリーシングサービス<5834>、20日にビジネスコーチ<9562>が東証グロース市場に新規上場予定。また、Atlas Technologies<9563>、リンカーズ<5131>、FCE Holdings<9564>が17日まで、pluszero<5132>が19日までブックビルディング(BB)期間となっている。今週は、POPER<5134>、ベースフード<2936>の新規上場が承認された。
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