週明け11日の米株式市場でNYダウは10ドル高と小幅に3日続伸し、連日で過去最高値を更新した。ただ、旅客機「737MAX」の出荷再開見通しを発表したボーイングなどが押し上げ役となった格好で、米中貿易協議の先行き不透明感や香港のデモへの懸念から3ケタの下落となる場面もあった。本日の日経平均はこうした流れを引き継いで4円高からスタートすると、前日終値を挟んでもみ合う展開。米中協議への根強い期待から押し目買いが入り、一時23391.10円(59.26円高)まで上昇したが、一段の上値追いの動きは乏しかった。東証1部の値上がり銘柄は全体の4割強、対して値下がり銘柄は5割強となっている。
個別では、任天堂<7974>、ソニー<6758>、ファーストリテ<9983>、太陽誘電<6976>
などがしっかり。堅調な決算だった太陽誘電は朝高後に利益確定売りが出る場面もあったが、プラス圏で前場を折り返した。その他の決算発表銘柄では博報堂DY<2433>、浜松ホトニク<6965>などの上げが目立つ。前日に決算を受けて売られたダイフク<6383>は商いを伴って急反発。また、福島銀<8562>が連日で東証1部上昇率トップとなっており、東芝<6502>が完全子会社化を検討と報じられた東芝プラ<1983>なども上位に顔を出した。一方、売買代金トップのソフトバンクG<9984>が2%超下落しているほか、トヨタ自<7203>や三菱UFJ<8306>がさえない。業績予想を下方修正した三井金<
5706>や、ゲームアプリのリリース延期を嫌気した売りの続くオルトプラス<3672>が東証1部下落率上位に顔を出した。セクターでは、建設業、その他製品、石油・石炭製品などが上昇率上位。反面、非鉄金属、ゴム製品、その他金融業などが下落率上位だった。
前場の日経平均は朝方に一時マイナスとなったものの、プラス圏で推移する場面が多く、底堅い印象。しかし上値追いの動きも鈍く、前週末の当欄で予想したとおり「2
3000円台での日柄調整」といった様相だ。10月半ばからの1カ月での上昇幅はおよそ2000円に達する。8日発表された10月第5週(10月28日~11月1日)の投資主体別売買動向を見ると、外国人投資家の現物株買いが続く一方、逆張り志向の強い個人投資家は高値警戒感から売りを出している。先物については外国人投資家の買い越しが続いたが、足元で短期筋による買い戻しは一服しつつあるとも伝わっている。現在は外国人投資家の買いと個人投資家の売りが拮抗しやすい水準か。
また、本日は前場の東証1部売買代金が1兆円を下回っている。前日も1日を通じて2兆1000億円あまりで、売買がやや低調となりつつある。追加関税の段階的撤廃を巡り米中の認識の食い違いが表面化し、改めて慎重姿勢を強めた投資家が少なくないことが窺える。さらに、今週後半は米中の経済指標発表が多く、これらの内容を見極めたいとの思惑が出てくる可能性もある。やはり目先の日経平均は高値もち合いになるとみておきたい。なお、今週は7-9月期決算発表の最終盤となる。主要企業の発表はおおむね一巡しつつあるものの、本日も富士フイルム<4901>、日産自<7201>、住友不<8830>などが発表を予定している。
(小林大純)
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