6日の米株式市場でNYダウは181ドル高と4日続伸。原油先物相場の上昇が好感されたほか、トランプ政権がメキシコとの移民政策を巡る交渉を進めるため、同国への関税引き上げ延期を検討していることが伝わり、引けにかけて堅調推移となった。また、引き続き連邦準備制度理事会(FRB)による利下げへの期待も相場を押し上げた。為替相場は1ドル=108円台半ばと前日より円安方向に振れており、本日の日経平均はこうした流れを好感して85円高からスタート。寄り付き後は20800円台でのもみ合いが続いたが、一時20890.63円(116.59円高)まで上昇する場面があった。東証1部の値上がり銘柄は全体の6割ほど、対して値下がり銘柄は3割強となっている。
個別では、任天堂<7974>、村田製<6981>、ソニー<6758>、トヨタ自<7203>などがしっかり。武田薬<4502>は2%超上昇した。前日の米フィラデルフィア半導体株指数(SOX)の上昇を受けて東エレク<8035>は2%超高、アドバンテス<6857>は4%超高。中小型株では日本通信<9424>が引き続き活況を見せている。また、資本・業務提携のリリースが材料視されたオルトプラス<3672>が東証1部上昇率トップとなり、日立<6501>が完全子会社化を検討と報じられた日立ハイテク<8036>は買い気配のまま前場を折り返した。一方、ソフトバンクG<9984>、ファーストリテ<9983>といった値がさ株や、NTT<9432>、KDDI<9433>といった通信大手の一角が小安い。スマートフォン向けゲームの国内配信を開始したガンホー<3765>や、5月売上速報を発表したラウンドワン<4680>は東証1部下落率上位に顔を出した。セクターでは、石油・石炭製品、機械、鉱業などが上昇率上位。反面、空運業、パルプ・紙、電気・ガス業などが下落率上位だった。
米国ではNYダウが連日で3ケタの上昇となり、東京市場でも買い戻し優勢の展開となった。FRBの利下げによる景気下支えへの期待や、通商摩擦への過度な警戒感の後退により半導体関連株などの上げが目立つ。ただ、市場ではなお「買い戻しの域を出ない」との見方が多い。前場の東証1部売買代金はおよそ8300億円にとどまっており、市場の買い手控えムードが根強いことを窺わせる。日経平均寄与度の大きい値がさ株や半導体関連などの景気敏感株の前日からの動向を見ると、リバランス(資産の配分調整)目的の売買が中心とみられ、新規の資金流入は乏しそうだ。この週末には米5月雇用統計の発表も控えており、後場は模様眺めムードが一段と強まることも想定される。
NYダウに比べ日経平均の戻りはやや鈍い印象だが、通商摩擦や世界経済の減速、今秋に予定される消費増税への懸念が根強いことなどが背景にあるとみられる。市場のムードが明るさを取り戻すにはなお時間を要するだろう。
(小林大純)
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