24日の米国市場でNYダウは反落し、75ドル安となった。トランプ米大統領が来月予定されていた米朝首脳会談を中止すると表明し、地政学リスクに対する警戒感が高まった。米政権が自動車・自動車部品に対する追加関税の導入を検討すると発表したことも投資家心理を冷やした。本日の日経平均はこうした流れを引き継いで56円安からスタートすると、寄り付き直後には一時22318.15円(118.86円安)まで下落した。しかし、トランプ氏が米朝首脳会談実施に向けて交渉の余地を残す発言をしたこと、北朝鮮も対話姿勢を示したことから一段と売り込まれる流れにはならなかった。日経平均は直近3日で565円ほど下落していた反動もあり、プラス圏へ浮上する場面が見られた。
個別では、ソフトバンクG<9984>が2%安となり、日経平均を約19円押し下げた。携帯子会社のスマートフォン販売を巡り、総務省が行政指導する方針を固めたなどと報じられている。三菱地所<8802>も3%安と下げが目立つ。その他売買代金上位では、トヨタ自<7203>、三菱UFJ<8306>、マネックスG<8698>、ソニー<6758>などがさえない。一方、東エレク<8035>は2%近い上昇。このところさえない値動きだったが、米半導体株高などを支援材料として買い戻しの動きが広がった。レーティング引き上げ観測のキリンHD<2503>は4%超高。その他、任天堂<7974>、ファーストリテ<9983>、資生堂<4911>などが上昇した。セクターでは、鉱業、海運業、石油・石炭製品などが下落。反面、空運業、陸運業、食料品などがしっかり。
米朝首脳会談に向けた波乱はある程度想定されたもので、株式市場でも前日までに織り込み済みだろう。ただ、安全保障のみならず通商分野などでも米国の「トランプ流」政策に振り回される相場展開が続いているだけに、積極的な買いも手掛けにくい。主力の自動車株は米国の追加関税に対する警戒感が株価の重しとなるだろう。日経平均は前場にプラス転換したとはいえ、25日移動平均線水準で上げ一服となっている。目先は上値の重い展開が続く可能性がある。投資資金の向かう先は内需・ディフェンシブ関連株の一角など限られそうだ。
新興市場ではマザーズ指数が3日続落している。週前半には中小型株の出直り期待が高まったが、北朝鮮情勢を巡る地政学リスクの高まりなどに水を差された格好となっている。
こちらも当面は外部環境睨みの展開となりそうだ。
(小林大純)
<AK>
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