19日の米国株式市場のダウ平均は250.91ドル安(-0.75%)、ナスダック総合指数は128.13ポイント安(-0.96%)、S&P500は36.60ポイント安(-0.85%)とそれぞれ続落。連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長が長期債利回りの上昇で利上げの必要性が低下する可能性に言及した。ただ、高いインフレが依然リスクで、経済の強さが続いた場合は追加利上げが正当化されるとの見解を示すなど、利上げ終了が示唆されず長期金利が再び上昇するに連れて警戒感から売りに転じた。終盤にかけて主要株式指数が下げ幅を拡大した米株市場を横目に、日経平均は265.73円安の31164.89円と続落してスタート。その後もマイナス圏で軟調に推移した。
個別では、東エレク<8035>やディスコ<6146>などの一部の半導体関連株、川崎汽船<9107>や郵船<9101>などの海運株が軟調に推移。また、三菱UFJ<8306>や三井住友
<8316>などの金融株、ファーストリテ<9983>、キーエンス<6861>、トヨタ自<7203>、ソフトバンクG<9984>、ダイキン<6367>、ソニーG<6758>、キヤノン<7751>などが下落した。北米地域での在庫調整受けて業績予想を下方修正した富士通ゼネラル<6755>が大幅下落。ほか、TOWA<6315>、タツモ<6266>、ダイレクトマーケティングミックス<7354>が下落率上位となった。
一方、INPEX<1605>や石油資源開発<1662>などの一部の石油関連株、三井物産<8031>、日本郵政<6178>、などが上昇した。また、がん領域3製品でメルクと開発・商業化契約締結を発表した第一三共<4568>やエフィッシモの大量保有が伝わり思惑買いが向かった西松屋チェーン<7545>は急騰、NISSOHD<9332>、古野電気<6814>、三和ホールディングス<5929>などが値上がり率上位となった。
セクターでは、保険業、機械、電気機器が下落率上位に並んでいる一方で、医薬品、鉱業、ゴム製品が上昇率上位に並んでいる。東証プライム市場の値上がり銘柄は全体の37%、対して値下がり銘柄は59%となっている。
今日の東京株式市場は売りが先行した。昨日の米株安を引き継いだほか、中東情勢の緊迫化や米国による対中半導体規制強化への懸念、米財政運営の先行き不透明感なども払しょくできず、週末要因も相まって買い進む動きは乏しい。また、アジア市況では、香港ハンセン指数や上海総合指数が下落し、上海総合指数が心理的な節目とされる3000を割っていることも警戒材料となっている。ただ、昨日の日経平均が600円を超す大幅安となったことで自律反発狙いの買いが入りやすく、下げ幅は限定的となっている。なお、取引開始前に発表された9月の全国消費者物価指数(CPI)は、生鮮食品を除く総合指数が前年同月比2.8%上昇した。QUICKがまとめた市場予想の中央値は同2.7%上昇だった。
さて、後場の日経平均はプラス圏に浮上できるか。FRBのパウエル議長は次回のFOMCでは政策金利を据え置く姿勢を示したが、その後は追加利上げの可能性があると強調している。利上げがすでに終結したと推測する市場の見方をけん制しており、FRBの金融政策も先行きが見通しにくい。午後からはアジア市況の動向に加えて、米株先物の推移を見極めたく、引き続き買い進む動きは限定的となりそうだ。テクニカル面では、サポートラインが見当たらず、31000円も視野に入ってきている。総じて、手掛かり材料に乏しい中、個別に材料が出た銘柄中心に注目しておきたい。
(山本泰三)
<AK>
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