10日の米株式市場でNYダウは続伸し、150ドル高となった。トランプ大統領が11日に中国の劉鶴副首相と会談する予定を明らかにし、通商問題を巡る米中の閣僚級協議で何らかの進展が見られるとの思惑が強まった。10月物のオプション特別清算指数(SQ)算出に絡んだ売買が市場推計で買い越しだったこともあり、本日の日経平均は197円高からスタート。寄り付き後はいったん上げ幅を縮めたものの、円相場が一時1ドル=108円台まで下落したことや、中国・上海株が続伸スタートしたことなどが支援材料となり、前場中ごろに21773.47円(221.49円高)まで上昇する場面があった。なお、SQ値は概算で21842.63円。東証1部の値上がり銘柄数は1027、対して値下がり銘柄数は1017とほぼ拮抗した。
個別では、ファーストリテ<9983>が3%超の上昇となり、1銘柄で日経平均を約74円押し上げた。前日発表した前期決算を評価した買いが先行した。他の決算発表銘柄では7&iHD<3382>や良品計画<7453>が大きく上昇。7&iHDは決算とともに構造改革案を発表している。スズキ<7269>は業績下方修正を発表したが、悪材料出尽くし感から買いが入った。その他売買代金上位ではトヨタ自<7203>やソニー<6758>が堅調で、SUMCO<3436>は6%近い上昇。また、SHIFT<3697>やローツェ<6323>が好決算を受けて急伸し、東証1部上昇率上位に顔を出した。一方、任天堂<7974>、安川電
<6506>、アドバンテス<6857>などが軟調。安川電は想定以上の業績下方修正がネガティブ視された。コシダカHD<2157>、マニー<7730>、ラウンドワン<4680>などが東証1部下落率上位に顔を出しており、四半期報告書の提出遅延で監理銘柄(確認中)に指定されたUMCエレ<6615>はストップ安水準での売り気配となっている。セクターでは、鉱業、小売業、証券などが上昇率上位。反面、その他製品、サービス業、不動産業など5業種が下落した。
前場の日経平均は堅調に推移し、200円超の上昇で前場を折り返した。米中が通商協議で部分的な合意に至るのではといった期待感とともに、ファーストリテを中心とした小売株の大幅上昇が日経平均の押し上げに寄与した。外需株の皮切りとして注目された安川電の決算は弱い内容と捉えられているが、ファナック<6954>が堅調となるなど他の関連銘柄に売りが波及している様子はない。日経平均の日足チャートを見ると、21700円手前に位置していた25日移動平均線を上回ってきている。
ただ、前場はSQ値までクリアすることはできなかった。SQ算出に絡んだ売買はさほど膨らんでおらず、需給的な重しとはならないだろうが、目先の心理的な節目として意識される可能性はある。米中協議を巡っては、ホワイトハウス報道官が「日程は流動的」などと述べたことも報じられており、先行きをしっかり見極めたいところ。円相場は1ドル=108円台を一時付けたのち下げ渋り、上海株は朝高後に伸び悩んでいる。3連休を前に一段と買い進む材料は乏しく、後場の日経平均は高値もみ合いになりそうだ。
(小林大純)
<AK>
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