13日の米株式市場ではNYダウが617ドル安と大幅に反落。中国政府が米国製品600億ドル相当の関税引き上げを6月1日から実施すると表明し、アジア・欧州株がほぼ全面安となった流れを引き継いだ。米政府は中国からの輸入品3250億ドル相当の関税引き上げについても検討しており、米中摩擦激化への懸念から投資家心理が急速に悪化した。円相場も1ドル=109円近辺まで上昇する場面があり、本日の日経平均はこうした流れを嫌気して320円安からスタートすると、朝方には一時20751.45円(439.83円安)まで下落した。取引時間中に21000円を割り込むのは3月28日以来、およそ1カ月半ぶり。ただ、トランプ米大統領が米中協議について楽観的な見方を示したなどと報じられると下げ渋る展開となった。東証1部の値下がり銘柄は全体の7割強、対して値上がり銘柄は2割強となっている。
個別では、ソフトバンクG<9984>が売買代金トップで4%近い下落。投資先の米ウーバー・テクノロジーズが株価急落し、売り材料となっているようだ。ZOZO<3092>も6%近い下落となった。その他売買代金上位ではファーストリテ<9983>、ソニー<6758>、キーエンス<6861>などがさえない。決算発表銘柄ではいすゞ<7202>などが急落し、TATERU<
1435>が東証1部下落率トップとなった。一方、任天堂<7974>、ファナック<6954>、ソフトバンク<9434>などは小じっかり。太陽誘電<6976>とガンホー<3765>は市場予想を上回る決算が好感され、ともに5%を超える上昇となった。大陽日酸<4091>は今期の大幅増益見通しを受け急伸。中小型株ではブレインパッド<3655>が活況だった。また、大真空<6962>やMDV<3902>はストップ高水準で前場を折り返した。セクターでは、ゴム製品、水産・農林業、証券などが下落率上位。反面、石油・石炭製品など4業種が上昇した。
改元を挟み、米中貿易摩擦の激化懸念を背景に日経平均の下落が続いている。ただ、前日までの6日続落で下げ幅は1100円を超えており、短期的な売られ過ぎ感が意識されやすい局面でもある。空売り比率(東証)が再び50%に迫っており、一部メディアは機関投資家の日本株組み入れ比率引き上げ観測とともに需給改善への期待を示している。トランプ氏や米中高官らの貿易協議に向けた前向きな発言を受け、買い戻しの動きが強まる場面も出てくるだろう。
しかし、13日の米株式市場ではNYダウが一時719ドル安まで下げ幅を広げ、日米で不安定な相場展開が続いている。ボラティリティー(株価変動率)の上昇で株式などのリスク資産を売る動きも続いているとみられ、市場が落ち着きを取り戻すまで本格的なリバウンドは期待しにくい。米中は協議を継続する姿勢を見せているものの、関税の応酬で摩擦激化懸念は強い。個別株動向に見られるように、業績面で安心感のある銘柄に物色が集中しやすい地合いと考えられる。
(小林大純)
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