■新型肺炎の懸念から日経平均3週ぶり下落
前週の日経平均は3週間ぶりに下落した。17日のNYダウが5日続伸し、連日で過去最高値を更新した流れを受け、週初20日の日経平均も3日続伸となった。日経平均の終値としては昨年12月17日以来、約1カ月ぶりに昨年来高値を更新。ただ、20日の米国市場は休場であることから売買は低調であった。21日の日経平均は4日ぶりに大幅反落となり24000円台を割り込んだ。株価指数先物に売りが出て下げ幅を広げるなか、新型肺炎の拡大懸念から香港株が大きく下落したことなどが嫌気された。中国で発生した新型コロナウイルスによる肺炎患者の拡大によりアジア株がほぼ全面安となり、米国市場にも売りが先行して連休明け21日のNYダウは6営業日ぶりに反落した。22日の日経平均も米株安の流れを引き継いで小幅安で始まったものの、その後買い戻しが入りプラス圏へ浮上した。香港株が反発したことで新型肺炎への過度な警戒感もいったん和らいだ。物色的には、米アップルが台湾積体電路製造(TSMC)に半導体増産を要請したことなどが報じられ、東京エレクトロン<8035>など半導体関連株の一角で上げが目立った。買い手掛かり難の中で23日の日経平均は反落。1ドル=109円台半ばと円高基調となったことに加えて、中国・武漢市が新型コロナウイルスの感染拡大阻止のために公共交通機関運行停止を発表したことが嫌気された。23日のNYダウは、新型肺炎の感染拡大を巡り、中国政府が複数都市での移動制限措置を実施したことから中国経済の減速懸念が強まり3日続落となった。ただ、世界保健機関(WHO)が非常事態宣言を見送ったことから懸念が和らぎ、引けにかけては下げ幅を縮小。ナスダック指数が続伸し3日ぶりに史上最高値を更新したこともあり、24日の日経平均は反発で始まった。新型肺炎への懸念が根強く一時マイナス圏に沈んだものの、半日取引の香港株が小幅ながら反発したことなどが下支えとなって大引けにかけて持ち直した。前日の決算発表で通期の営業利益予想を下方修正した日本電産<6594>は、前日比プラスでスタート後に下落に転じた。
■FOMC、ブレグジットにらみ業績相場に
今週の日経平均は落ち着きどころを探る展開となりそうだ。今週も新型肺炎の感染拡大が投資家心理の重荷となり、全般は模様眺め気分が広がりそうだ。また、中国市場が春節で休場(香港市場は28日、上海市場は30日まで)となることで、新型肺炎騒動が落ち着くまでは、地理的に近い日本株をヘッジ売りという動きになる懸念から市場心理はリスクオフに傾いている。このほか、スケジュール的にはFOMC(連邦公開市場委員会)が28日から29日にかけて開催される。米国金融政策に変更はない見込みだが、新型肺炎の感染拡大を受けてマーケットをにらんだハト派的な内容となる期待もある。また、英国の欧州連合(EU)離脱実現に必要な離脱関連法の法案が22日までに英上下両院を通過、エリザベス女王の裁可を経て成立することから、欧州マーケットの落ち着きも期待されブレグジット問題ではアク抜け感も出てこよう。2月4日に開催されるトランプ米大統領の一般教書演説までは方向感が定まりにくい展開となることが予想されるなか、物色は企業の決算発表を手掛かりとした業績相場の色合いを強めてくることが想定される。ハイテク株の先陣を切った業績発表の日本電産<6594>は通期予想を下方修正した一方、自社株買いを発表して乱高下となった。出鼻をくじかれた形だが、今週は、決算発表が本格化し、27日は日東電工<6988>、28日は信越化学<4063>、エムスリー<2413>、29日はファナック<6954>、キヤノン<7751>、NEC<6701>、アドバンテスト<6857>、30日はアンリツ<6754>、任天堂<7974>、東京エレクトロン<8035>、野村HD<8604>、NTTドコモ<9437>、31日はコマツ<6301>、日立<6501>、TDK<6762>、みずほFG<8411>が発表を予定している。
■半導体が物色人気をリード
物色的には、需要底入れ期待から中小型を中心とした半導体関連株の循環物色が注目される。米半導体大手のインテルが23日発表した第4四半期決算は、利益と売上高が市場予想を上回ったほか、通期の売上高見通しも予想を上回り、半導体業界が低迷期を脱しつつあるとの市場の期待を膨らませている。24日のNY市場でインテル株は前日比8%高で大引ける逆行高を見せており、関連株物色の支援材料として働いてこよう。24日の東証1部株価上昇率ランキングでも、マルマエ<6264>、三益半導体<8155>、山一電機<6941>など半導体関連が上位を占めている。
■米10-12月期GDP、中国1月製造業PMI、EU10-12月期GDP
主な国内経済関連スケジュールは、28日に12月企業向けサービス価格指数、29日に1月消費動向調査、1月20日・21日の金融政策決定会合の「主な意見」、31日に12月失業率・有効求人倍率、12月鉱工業生産、12月商業動態統計が予定されている。一方、米国など海外主要スケジュールでは、27日に米12月新築住宅販売件数、28日にFOMC(29日まで)、米12月耐久財受注、米11月S&PコアロジックCS住宅価格指数、米1月CB消費者信頼感指数、29日に米12月中古住宅販売仮契約、30日に英国金融政策発表、米10-12月期GDP速報値、31日に中国1月製造業PMI、EU10-12月期GDP、米12月個人所得・個人支出が予定されている。
<FA>
前週の日経平均は3週間ぶりに下落した。17日のNYダウが5日続伸し、連日で過去最高値を更新した流れを受け、週初20日の日経平均も3日続伸となった。日経平均の終値としては昨年12月17日以来、約1カ月ぶりに昨年来高値を更新。ただ、20日の米国市場は休場であることから売買は低調であった。21日の日経平均は4日ぶりに大幅反落となり24000円台を割り込んだ。株価指数先物に売りが出て下げ幅を広げるなか、新型肺炎の拡大懸念から香港株が大きく下落したことなどが嫌気された。中国で発生した新型コロナウイルスによる肺炎患者の拡大によりアジア株がほぼ全面安となり、米国市場にも売りが先行して連休明け21日のNYダウは6営業日ぶりに反落した。22日の日経平均も米株安の流れを引き継いで小幅安で始まったものの、その後買い戻しが入りプラス圏へ浮上した。香港株が反発したことで新型肺炎への過度な警戒感もいったん和らいだ。物色的には、米アップルが台湾積体電路製造(TSMC)に半導体増産を要請したことなどが報じられ、東京エレクトロン<8035>など半導体関連株の一角で上げが目立った。買い手掛かり難の中で23日の日経平均は反落。1ドル=109円台半ばと円高基調となったことに加えて、中国・武漢市が新型コロナウイルスの感染拡大阻止のために公共交通機関運行停止を発表したことが嫌気された。23日のNYダウは、新型肺炎の感染拡大を巡り、中国政府が複数都市での移動制限措置を実施したことから中国経済の減速懸念が強まり3日続落となった。ただ、世界保健機関(WHO)が非常事態宣言を見送ったことから懸念が和らぎ、引けにかけては下げ幅を縮小。ナスダック指数が続伸し3日ぶりに史上最高値を更新したこともあり、24日の日経平均は反発で始まった。新型肺炎への懸念が根強く一時マイナス圏に沈んだものの、半日取引の香港株が小幅ながら反発したことなどが下支えとなって大引けにかけて持ち直した。前日の決算発表で通期の営業利益予想を下方修正した日本電産<6594>は、前日比プラスでスタート後に下落に転じた。
■FOMC、ブレグジットにらみ業績相場に
今週の日経平均は落ち着きどころを探る展開となりそうだ。今週も新型肺炎の感染拡大が投資家心理の重荷となり、全般は模様眺め気分が広がりそうだ。また、中国市場が春節で休場(香港市場は28日、上海市場は30日まで)となることで、新型肺炎騒動が落ち着くまでは、地理的に近い日本株をヘッジ売りという動きになる懸念から市場心理はリスクオフに傾いている。このほか、スケジュール的にはFOMC(連邦公開市場委員会)が28日から29日にかけて開催される。米国金融政策に変更はない見込みだが、新型肺炎の感染拡大を受けてマーケットをにらんだハト派的な内容となる期待もある。また、英国の欧州連合(EU)離脱実現に必要な離脱関連法の法案が22日までに英上下両院を通過、エリザベス女王の裁可を経て成立することから、欧州マーケットの落ち着きも期待されブレグジット問題ではアク抜け感も出てこよう。2月4日に開催されるトランプ米大統領の一般教書演説までは方向感が定まりにくい展開となることが予想されるなか、物色は企業の決算発表を手掛かりとした業績相場の色合いを強めてくることが想定される。ハイテク株の先陣を切った業績発表の日本電産<6594>は通期予想を下方修正した一方、自社株買いを発表して乱高下となった。出鼻をくじかれた形だが、今週は、決算発表が本格化し、27日は日東電工<6988>、28日は信越化学<4063>、エムスリー<2413>、29日はファナック<6954>、キヤノン<7751>、NEC<6701>、アドバンテスト<6857>、30日はアンリツ<6754>、任天堂<7974>、東京エレクトロン<8035>、野村HD<8604>、NTTドコモ<9437>、31日はコマツ<6301>、日立<6501>、TDK<6762>、みずほFG<8411>が発表を予定している。
■半導体が物色人気をリード
物色的には、需要底入れ期待から中小型を中心とした半導体関連株の循環物色が注目される。米半導体大手のインテルが23日発表した第4四半期決算は、利益と売上高が市場予想を上回ったほか、通期の売上高見通しも予想を上回り、半導体業界が低迷期を脱しつつあるとの市場の期待を膨らませている。24日のNY市場でインテル株は前日比8%高で大引ける逆行高を見せており、関連株物色の支援材料として働いてこよう。24日の東証1部株価上昇率ランキングでも、マルマエ<6264>、三益半導体<8155>、山一電機<6941>など半導体関連が上位を占めている。
■米10-12月期GDP、中国1月製造業PMI、EU10-12月期GDP
主な国内経済関連スケジュールは、28日に12月企業向けサービス価格指数、29日に1月消費動向調査、1月20日・21日の金融政策決定会合の「主な意見」、31日に12月失業率・有効求人倍率、12月鉱工業生産、12月商業動態統計が予定されている。一方、米国など海外主要スケジュールでは、27日に米12月新築住宅販売件数、28日にFOMC(29日まで)、米12月耐久財受注、米11月S&PコアロジックCS住宅価格指数、米1月CB消費者信頼感指数、29日に米12月中古住宅販売仮契約、30日に英国金融政策発表、米10-12月期GDP速報値、31日に中国1月製造業PMI、EU10-12月期GDP、米12月個人所得・個人支出が予定されている。
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