21日の米株式市場でNYダウは103ドル安と4日ぶりに反落。昨年12月の耐久財受注が市場予想を下回ったほか、2月フィラデルフィア連銀製造業景況指数がマイナスとなるなど経済指標が振るわず、景気減速への懸念から売りが出た。米中交渉妥結を楽観視する見方が相場を下支えしたものの、終日軟調な推移だった。本日の東京市場でもこうした流れを引き継ぎ、日経平均は87円安でスタートすると、朝方には21348.67円(115.56円安)まで下落する場面があった。しかし大きく売り込もうという動きもなく、マイナス圏でもみ合う展開となった。東証1部の値下がり銘柄は全体のおよそ7割となっている。
個別では、ソフトバンクG<9984>、ソニー<6758>、ファーストリテ<9983>、武田薬<4502>、トヨタ自<7203>などが小安い。三菱商事<8058>や東エレク<8035>、SUMCO<3436>は2%下落し、景気敏感株の軟調ぶりがやや目立った。また、エラン<6099>などが東証1部下落率上位に顔を出した。一方、任天堂<7974>、キーエンス<6861>はしっかり。アンリツ<6754>やユーグレナ<2931>は3%超、ZOZO<3092>は5%超上昇した。また、ラサ工<4022>は一部報道が材料視されて急伸し、一蔵<6186>などとともに東証1部上昇率上位に顔を出した。セクターでは、海運業、鉱業、石油・石炭製品などが下落率上位で、その他も全般軟調。空運業とパルプ・紙の2業種のみ小幅に上昇した。
欧米の軟調な経済指標が嫌気されて前日の米NYダウが下落し、本日の日経平均もマイナス圏で推移している。前日まで4日続伸で、この間560円ほど上昇していたため、週末を控え利益確定の売りが出やすい面もある。しかし、21370円付近に位置する5日移動平均線を割り込むことはなく、目先調整の範囲内と捉えられそうだ。海外メディアが「トランプ米大統領が22日午後、中国の劉鶴副首相と会談する計画」などと報じており、米中協議の進展期待は根強い。これに加え、米国を中心とした金融引き締め観測の後退、株価変動率
(ボラティリティー)の低下など、相場を下支えする要因は多い。なお中長期の株高期待が高まっているとは言いづらいが、足元の戻り相場一服との見方も強まらないだろう。
新興市場ではマザーズ指数が5日続伸し、先週末からの上昇率は6%前後に達している。2018年4-12月期の決算発表一巡で中小型株への物色シフトは期待されていたものの、想定以上に強い値動きを見せている。従前はマザーズ指数を下回って推移していたマザーズ先物価格だが、足元でその差は縮小し、指数を上回る場面も見られるようになってきた。個別株の流動性の観点から裁定が働いているとは考えにくいが、マザーズ銘柄の先高期待の高まりを示す動きとして注目したい。
(小林大純)
<AK>
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