5日の米株式市場でNYダウは大幅に5日続落。終値で767ドル安と今年最大の下げ幅を記録した。中国人民元がおよそ11年ぶりの安値を付け、トランプ大統領が為替操作などと非難したうえ、中国商務省が米農産品の購入を一時停止すると発表し、米中対立の一段の激化が懸念された。また、朝方には米財務省が中国を為替操作国に指定したと伝わり、円相場が一時1ドル=105円台半ばに急伸。本日の日経平均はこうした流れを嫌気して394円安からスタートすると、朝方には20110.76円(609.53円安)まで下落する場面があった。注目された人民元基準値は6.9683元と前日より元安・ドル高水準に設定されたものの、市場予想より高かったため、円相場が1ドル=106円台前半に下落するとともに日経平均はやや下げ渋った。東証1部の値下がり銘柄は全体の9割強に上り、全面安の展開だった。
個別では、売買代金トップのソフトバンクG<9984>が5%近く下落し、トヨタ自<7203>や村田製<6981>は3%の下落となった。その他売買代金上位も任天堂<7974>、ソニー
<6758>、ファーストリテ<9983>など全般軟調。第1四半期が大幅増益だった太陽誘電<6976>は一時プラスに切り返したものの、米中対立激化への懸念から伸び悩んだ。その他の決算発表銘柄では船井電機<6839>、日立造<7004>、マルハニチロ<1333>、ホトニクス<6965>などが急落し、日総工産<6569>は東証1部下落率トップとなった。一方、SUBARU<7270>は大幅続伸し、7%近い上昇。前日の取引時間中に発表した決算が評価された。決算発表銘柄ではソフトバンク<9434>が小じっかり。ワールド<3612>やサントリーBF<2587>は大きく買われた。セクターでは、全33業種がマイナスとなり、石油・石炭製品、精密機器、海運業、情報・通信業、ゴム製品などが下落率上位だった。
米中の通商問題を巡る応酬が激しさを増し、日経平均は1日終値から本日前場の安値まで1400円超の大幅下落となった。2日の当欄で懸念していたとおり、「波乱の8月」が現実となりつつある。ただ人民元基準値の設定を受け、中国当局が元安ペースを和らげようとしているとの思惑が広がり、日経平均は安値から270円近く戻す場面もあった。日足チャート上では長めの下ひげを付けた格好だが、急ピッチの下落に対するスピード調整といったところで、底打ちとみるには時期尚早だろう。急速に円高に傾いた為替相場の修正の動きは1ドル=106円台前半で一服。中国・上海株はやはり大幅続落しており、後場の日経平均は一段の戻りを期待しにくい。
8月は為替相場が円高に振れやすく、米国の利下げ転換や米中対立の激化で1ドル=100円近辺まで上昇する可能性があるとの市場関係者の見方が増えてきた。株価変動率
(ボラティリティー)の高まりで株式の持ち高を減らす売りも出やすく、当面は不安定な相場展開が続くと考えておきたい。日経平均の下値めどとして、節目の2万円やPBR1倍水準(5日時点でおよそ19920円)が意識されるだろう。
(小林大純)
<AK>
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