18日の米株式市場でNYダウは232.85ドル安(-0.68%)と3日続落。米ロ外相が会談を予定していることなどが明らかになり、寄り付き後一時上昇。しかし、ウクライナ東部の親露派指導者が一部住人をロシアに避難させたとの報道などから再び緊張が高まり売りが広がった。一方、終日軟調に推移したが、オプション満期日に絡んだ買いが下値を支えた。週末の米株安や再び高まってきている地政学リスクを嫌気し、週明けの日経平均は350.49円安でスタート。朝方は売りが先行し、一時26549.00円(573.07円安)まで下落した。その後、米ロ首脳会談が行われることが伝わると、急速に買い戻され、前場中頃には26998.47円(123.60円安)まで下げ渋ったが、27000円手前で買い戻しが一巡すると、その後はもみ合いとなった。
個別では、東エレク<8035>、ソニーG<6758>、信越化<4063>、キーエンス<6861>、任天堂<7974>など、主力のハイテク・グロース(成長)株が軟調。先週好調だった川崎汽船<9107>などの大手海運株も大幅に下落。商船三井<9104>は自動車運搬船の火災事故の報道も重しになっているもよう。堺ディスプレイの完全子会社化を発表したシャープ<6753>は財務悪化懸念から急落。レーティング引き下げを受けてSUMCO<3436>やナブテスコ<6268>も大幅安。東証1部下落率上位には、公募・売出実施を発表した明治電機<3388>などが入った。
一方、INPEX<1605>や三菱商事<8058>なの資源関連が底堅く、JFE<5411>や住友鉱<5713>などは上昇。三菱UFJ<8306>やソフトバンク<9434>は配当利回りを意識した買いから上昇。そのほか、業績・配当予想を増額修正したミタチ産業<3321>や自社株買いを発表したファンコミ<2461>などが大幅高となっている。
セクターでは海運業、陸運業、金属製品などが下落率上位に並んだ。一方、銀行業、鉄鋼、保険業などが上昇率上位に並んだ。東証1部の値下がり銘柄は全体の71%、対して値上がり銘柄は24%となっている。
週明けの日経平均は波乱スタート、前場の下げ幅は一時600円近くまでに及んだが、その後、急速に下げ渋った。先週末は取引時間中に米ロ外相会談の報道が伝わったことで買い戻されたが、本日はバイデン米大統領とロシアのプーチン大統領による首脳会談に関する報道が伝わったことで下げ渋った。
ただ、依然としてウクライナ情勢は緊張感に包まれている。今週行われる外相会談に加えて新たに決まった首脳会談により、外交的解決の可能性はゼロではないが、欧米とロシアの主張には依然として大きな隔たりがあり、物別れに終わる可能性もある。また、週明けにかけては、ウクライナ政府軍と親ロシア派武装勢力を隔てる境界線周辺で停戦合意違反の動きが急増していると伝わるなど、まさしく一触即発の状態が続いている。
前場の東京市場は急速に下げ渋ったとはいえ、積極的な押し目買いが入っているというよりは、先週と同様、短期筋の先物主導での動きによるところが大きそうだ。この先も関連ヘッドラインに反応した短期筋に翻弄されることは濃厚だろう。「遠くの戦争は買い」などという格言もあり、地政学リスクによる株価下落は往々にして買い場になるとの指摘もあるが、少なくとも現時点での押し目買いは危険だろう。上述の米ロによる外相・首脳会談の行方もそうだが、最終的にロシアによるウクライナ侵攻が実行されるかどうか、これが決定的な事項となるまでは、関連報道に一喜一憂する展開が続く。
不謹慎な話だが、仮に実際にウクライナ侵攻が始まれば不透明感後退であく抜け上昇に繋がるなどという声も聞かれるが、今回の場合はそうならない可能性もある。資源大国であるロシアへ経済制裁が科されることになれば、資源価格の一段の高騰を通じて、インフレ高進や米連邦準備制度理事会(FRB)による金融引き締め懸念を一段と強めかねず、その点でむしろ、先行き不透明感を高めてしまうシナリオも考えられる。いまは安易な押し目買いは避け、様子見に徹した方が無難だろう。
後場の日経平均も引き続き神経質な展開が続きそうだ。ただ、米ロ首脳会談の報道を受けた買い戻しが既に一服していることや、心理的な節目の27000円目前で失速しているところを見ると、後場は上値の重い展開、もしくは、改めて下値模索の展開となる可能性にも留意しておきたい。
<AK>
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