日経平均は7日続落、8カ月ぶりの円高水準が嫌気される展開に
10日の米国市場はまちまち。ダウ平均は92.63ドル安(-0.23%)の40736.96ドル、ナスダックは141.28ポイント高(+0.84%)の17025.88、S&P500は24.47ポイント高(+0.45%)の5495.52で取引を終了した。ソフトランディング期待を受けた買いが続き、寄り付き後、上昇。しかし、金融セクターの下落や原油価格の下落でエネルギーセクターが弱く、ダウは下落に転じ終日売られた。長期金利低下でハイテクは終日堅調に推移しまちまちで終了。
米国株が高安まちまちも、為替の円高推移が嫌気されて、東京市場は売り優勢で取引を開始した。日経平均は36000円台を割り込んだ後は、35800円水準で下げ渋ったが、中川順子日銀審議委員が今後の利上げ実施を示唆したことで、為替は一時1ドル141円49銭と約8カ月ぶりの円高水準まで上昇。自動車株など輸出関連銘柄が弱い動きを見せた。
日経平均採用銘柄では、原油価格の下落を受けて、INPEX<1605>、出光興産<5019>、ENEOSホールディングス<5020>と資源関連の一角が売られたほか、為替の円高進行が嫌気されて、三菱自<7211>、SUBARU<7270>、日産自<7201>、いすゞ自<7202>、日野自<7205>など自動車株がさえない。このほか、東急不動産HD<3289>、サッポロHD<2501>、アマダ<6113>、イオン<8267>などが売られた。
一方、国内証券会社が目標株価を引き上げたことから富士通<6702>が上昇し年初来高値を更新したほか、ナスダック上昇を受けて、ソシオネクスト<6526>、東京エレクトロン<8035>など半導体株の一角が上昇。このほか、ヤマトHD<9064>、フジクラ<5803>、信越化<4063>、ニトリHD<9843>、ソフトバンクグループ<9984>、キーエンス<6861>などが買われた。
全業種が下落するなか、鉱業、電気・ガス業、石油・石炭製品、鉄鋼、輸送用機器の下げが目立った。
中川審議委員は、午前中に秋田市で開催された金融経済懇談会で、経済・物価が見通しに沿って推移すれば「金融緩和の度合いを調整していくことになる」などと話した。9月上旬、高田創審議委員が金沢市での金融経済懇談会で講演し「経済・物価の見通しがある程度実現していけば、それに応じて(金融緩和の度合いを)段階的に調整していく」との基本姿勢を強調していたことから、ほぼその流れを踏襲した内容だが、市場は「利上げに前向き」と捉えたもよう。後場の日経平均は、為替を睨んでの展開となるが、同時に行われていた米大統領選挙のテレビ討論会の内容なども見極める必要もあろう。後場の株式市場、為替市場、金利市場は荒い値動きを見せる可能性も。
<AK>
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