週明け7日の米株式市場でNYダウは反落し、95ドル安となった。中国の劉鶴副首相が今週10~11日に予定されている米中の閣僚級貿易協議について、産業政策や補助金改革に関する議論は行わないとの見解を示し、協議難航への懸念から売りが先行した。
反面、債券・為替市場では米中が部分的、暫定的に合意する可能性があるとの見方から、米長期金利が上昇するとともに円相場は1ドル=107円台前半に下落。本日の日経平均は円安を好感した先物買い主導で119円高からスタートすると、連休明けの中国・上海株が堅調なことも支援材料となり、前場に一時21627.11円(251.86円高)まで上昇した。東証1部の値上がり銘柄は全体の8割弱、対して値下がり銘柄は1割強となっている。
個別では、任天堂<7974>やソフトバンクG<9984>は小高く、トヨタ自<7203>やファーストリテ<9983>は堅調に推移している。アドバンテス<6857>とSUMCO<3436>は3%超の上昇。韓国サムスン電子の決算が好感され、半導体関連の一角に買いが入っているようだ。丸紅<8002>も4%高と上げが目立つ。前期業績を下方修正してあく抜け感が広がったビックカメラ<3048>や、前日に決算発表後の材料出尽くし感から売られたIDOM<7599>は急反発。また、神東塗料<4615>などが東証1部上昇率上位に顔を出した。一方、ソニー<6758>、信越化<4063>、OLC<4661>は小安い。業績観測が報じられたウエルシアHD<3141>はサプライズに乏しいとの見方から売り優勢となった。また、9月の既存店売上高が大きく増えたハブ<3030>も材料出尽くし感から売られ、東証1部下落率トップとなった。セクターでは、石油・石炭製品、金属製品、精密機器などが上昇率上位で、その他も全般堅調。電気・ガス業のみ小幅に下落した。
前日のNYダウは反落したが、米中協議の難航懸念は東京市場でも前日にある程度織り込み済みだろう。一方で部分的あるいは暫定的な協議合意への期待に加え、米経済の底堅さも背景として為替相場が1ドル=107円台前半と円安方向に振れ、本日の東京市場はこれを好感する格好となった。トヨタ自が1.2%高で前場を折り返すなど堅調だが、今月下旬から7-9月期決算発表が本格化するとあって、輸出企業の下期業績見通しを左右する為替動向には敏感となりやすいところだろう。
ただ、全体としては薄商いのなか先物主導の動きとなっている印象だ。前日の東証1部売買代金は1兆5251億円とおよそ1カ月ぶりの低水準だったが、本日も前引け時点で8800億円ほどと商いは盛り上がっていない。米中協議を巡り様々な報道が飛び交っており、市場では協議結果を見極めたいとする投資家が多いようだ。また、今週は小売大手や安川電<6506>の決算発表が予定されており、企業業績の先行きを占ううえで注目しておきたいところ。日経平均は短期的に値動きが大きくなりそうだが、本格的なリバウンドに転じると判断するのはまだ難しい。
(小林大純)
<AK>
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