今週の新興市場は下落。同時期の騰落率は、日経平均が-1.05%だったのに対して、グロース市場指数は-4.70%、グロース市場250指数は-4.98%。日経平均株価は政治リスクから4ケタの下落で始まったが、その後は高市首相誕生の可能性が高まる中で、買い戻しの動きが強まる場面もあった。ただ、米国で信用リスクが強まったことが重荷となった。グロース指数、グロース250指数においてもこの流れが広がる形になった。時価総額が大きい銘柄で構成されているグロース市場コア指数は、週間ベースで-3.02%だった。
時価総額上位銘柄では、タイミー<215A>の週間上昇率が8%を超えた。メルカリ<4385>がスキマバイトサービス「メルカリ ハロ」について、サービス提供を終了すると発表。競合他社の撤退は、同社に追い風になるとの見方から買いが入った。高市首相誕生の可能性が高まったことを受けて、サイバーセキュリティ関連として注目され、FFRIセキュリティ<3692>は同7%の上昇となった。一方、サンバイオ<4592>の下落率が30%を超えた。厚生労働省の薬事審議会を控えて期待先行で買われていたこともあり、材料出尽くしを警戒した換金売りが強まったようだ。
その他、フェニックスバイオ<6190>が週間で51%超の上昇。「コレステロール不含の高比重リポタンパク質粒子」に関する発明が日本において特許査定されたとの発表が材料視された。一方で、モビルス<4370>は40%超の下落となった。26年8月期通期の連結営業損益予想を1億1000万円の赤字(前期は9000万円の黒字)にすると発表した。リップス<373A>は同37%超の下落。26年8月期通期の営業利益予想を7.1億円(前期比25.7%減)と発表しており、いずれも今期計画が嫌気された。
今週のIPOは、15日に上場したライオン事務器<423A>は、公開価格(213円)を75.5%上回る374円で初値を付けた。16日上場のテクセンドフォトマスク<429A>の初値は、公開価格(3000円)を19.0%上回る3570円となった。17日上場のユーソナー<431A>の初値は、公開価格(2000円)を17.5%上回る2350円となり、ストップ高の2850円で終えた。
■高市トレード再燃か
来週の新興市場は、反発が見込まれる。高市首相誕生となれば高市トレードが再燃するほか、維新関連銘柄への物色が強まろう。また、17日の米国市場で地銀の信用不安を巡る警戒感が和らいだことも安心感につながる。高市トレードを意識したところでは、宇宙・防衛としてSynspective<290A>、QPS研究所<5595>、アクセルスペースホールディングス<402A>、アストロスケールホールディングス<186A>。量子コンピューターとして、QDレーザ<6613>、HPCシステムズ<6597>。核融合発電でマイクロ波化学<9227>などが関連銘柄として改めて注目されよう。
来週のIPOは、23日にセキュリティ関連や業務用コミュニケーションアプリを提供するサイバーソリューションズ<436A>、24日に決済・金融プラットフォーム提供によりキャッシュレス化・デジタル化を推進するインフキュリオン<438A>が、それぞれ東証グロース市場に上場する。いずれも成長が期待される市場領域として投資家の注目度は高く、堅調な初値形成になることが見込まれる。
<FA>
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