日経平均は28000円を回復して始まり、その直後に28423.46円まで上げ幅を広げた。ただ、日米金利差縮小を映して、円相場が一時3カ月ぶりに1ドル=136円台まで円高が進んだため、自動車など輸出関連株の一角が軟調だったことが重荷となった。日経平均は上げ幅を縮めたものの、28200円水準での底堅さは目立った。
東証プライムの騰落銘柄は、値下がり銘柄が1100を超え、全体の6割超を占めた。セクター別では、電気機器、化学、精密機器、医薬品など14業種が上昇。一方、不動産、保険、電気ガス、銀行など19業種が下落した。指数インパクトの大きいところでは、ファーストリテ<9983>、東エレク<8035>、アドバンテス<6857>、ソフトバンクG<9984>、エーザイ<4523>が堅調だった半面、KDDI<9433>、住友不<8830>、セコム<9735>、任天堂<7974>、電通グループ<4324>が軟化した。
注目されたパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長の講演では、「利上げペースの減速時期は早ければ12月の会合になる」などと述べたことから、利上げペースの鈍化への期待感が高まり、主要株価指数は大幅上昇。なかでも、テック銘柄中心のナスダック指数やSOX指数は急騰となった。
これを受け、指数寄与度の高い値がさハイテク株を中心に値を上げる銘柄が増加し、日経平均をけん引する格好となった。ただし、米個人消費支出や雇用統計の発表を控えていることもあり、28500円を目前に戻り待ちの売りが出たようだ。
パウエルFRB議長の講演内容については、「目新しさはない」との見方が多いものの、米金利が低下したことで、リスクオン的な流れが波及した格好となった。しかし、今後、金融市場がFRBのハト派化期待を過度に織り込み、実質金利が一段と低下するようなことになれば、「再び釘を刺す強いメッセージを出すことになることも想定される」と警戒する向きも少なくない。このため、引き続き、米国のインフレ指標の内容には警戒が必要であろう。
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