18日の米株式市場でNYダウは3ドル高と3日ぶりに小幅反発した。動画配信大手ネットフリックスの決算が嫌気され、ハイテク株を中心に売りが先行。しかしNY連銀のウィリアムズ総裁が講演で「経済悪化の兆候を確認した場合、連邦準備制度理事会(FRB)は迅速に行動すべき」などと利下げに積極的な姿勢を示し、株価は下げ渋った。前日に422円安と令和最大の下げ幅を見せた日経平均も、米国株の底堅い動きを受けて本日は100円高からスタート。台湾積体電路製造(TSMC)が業績の先行きに前向きな見方を示したことから、東京市場でも半導体関連株を中心に買いが入り、寄り付き後の日経平均は上げ幅を広げる展開となった。東証1部の値上がり銘柄は全体の9割強と全面高になっている。
個別では、ソニー<6758>、ソフトバンクG<9984>、トヨタ自<7203>、任天堂<7974>など売買代金上位は全般堅調。前述のとおり東エレク<8035>、SUMCO<3436>、SCREEN<7735>、アドバンテス<6857>といった半導体関連株の上げが目立つ。第1四半期減益との観測が報じられた東ソー<4042>、業績下方修正のKOA<6999>は悪材料出尽くし感から買い戻し優勢。また、経営再建への期待が高まっている曙ブレーキ<7238>や業績上方修正のレッグス<4286>が急伸し、半導体関連株とともに東証1部上昇率上位に顔を出した。一方、売買代金上位ではファーストリテ<9983>が利益確定売りに押され逆行安。Genky<9267>は朝方に発表した決算を受けて売りが先行し、東証1部下落率上位に顔を出した。セクターでは、全33業種がプラスとなり、水産・農林業、証券、非鉄金属、食料品、パルプ・紙が上昇率上位だった。
日経平均は前日から荒い値動きとなっている。前日については、キヤノン<7751>に関する報道などから企業業績の悪化懸念が台頭。本日は一転して半導体関連市場の底打ち期待が広がった格好だ。企業業績や事業環境を巡る材料に一喜一憂しているようにも見受けられる。しかし、市場では短期投資家の売買が中心との見方が多いようだ。前日の東証1部売買代金は2兆円あまりで、本日の前場も1兆円弱にとどまっており、取引参加者が増えている印象は乏しい。また、日経平均は前日までの3日間で640円近く下落しており、本日は週末を前に買い戻しの動きが出てきやすいことは想定内だ。日足チャートで21400円台前半に位置する25日移動平均線や75日移動平均線までの戻りにとどまれば、自律反発の域を出ないだろう。
「短期的に振らされる場面が出てくる」と一昨日に指摘したとおりの展開で、特段ポジティブにもネガティブにも捉える必要はないと考えられる。ただ、株価変動率(ボラティリティー)の高まりは株売りにつながる可能性もあるため注意しておきたい。また、ここまでに伝わっている業績観測報道は市場予想に対し強弱入り混じっている。米中通商協議の先行きも不透明で、外需株全般に強気に傾くのは時期尚早だろう。引き続き方向感の掴みにくい相場展開が続くとみておきたい。
(小林大純)
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