連日の上昇で短期的な過熱感が意識される中、景気後退懸念と為替の円高進行を背景に売りが先行し、前場中ごろには28000円を割り込んだ。期初に含み益のある保有株を売却する国内金融機関による益出しが相場の重しになったとの指摘も聞かれる中、日経平均は午後に入ってから一段と下げ幅を拡大。その後は下げ止まったが戻りは鈍く、安値圏での底這いが続いた。
大引けの日経平均は前日比474.16円安の27813.26円となった。東証プライム市場の売買高は11億6563万株、売買代金は2兆8161億円だった。セクターでは鉄鋼、石油・石炭、卸売が下落率上位となった一方、海運のみが上昇した。東証プライム市場の値下がり銘柄は全体の96%、対して値上がり銘柄は3%だった。
個別では、景気後退懸念と米長期金利の低下を背景に日本製鉄<5401>やJFEHD<5411>
の鉄鋼、三井物産<8031>、住友商事<8053>の商社、DOWA<5714>、三菱マテリアル<5711>の非鉄金属、INPEX<1605>、石油資源開発<1662>の鉱業、三菱UFJ<8306>、T&DHD<8795>の銀行・保険、ファナック<6954>、牧野フライス<6135>、コマツ<6301>の機械や建機などが大きく下落。為替の円高でトヨタ自<7203>、ホンダ<7267>、デンソー<6902>など輸送用機器も安い。メルカリ<4385>、Appier Group<4180>などグロース(成長)株の一角も大幅安。アダストリア<2685>は決算を材料に急落し、良品計画<7453>は好調な月次売上を発表も今後の反動減が警戒されて大きく下落。リチウムイオン電池開発技術のリリースで前日急伸した安永<7271>は一時大幅高となっていたが失速して結局反落に終わった。
一方、川崎汽船<9107>、郵船<9101>、商船三井<9104>の大手海運が続伸したほか、オリンパス<7733>が大きく上昇した。レーザーテック<6920>、ソシオネクスト<6526>
など半導体の一角が底堅く推移。証券会社の新規買い推奨を受けてダイワボウ<3107>
が急伸し、株主還元方針が評価された東洋建設<1890>も大幅高。政府の水素導入目標案が手掛かりとなった岩谷産業<8088>、欧州自動車メーカーと電気自動車(EV)用電池で提携することで交渉と伝わったパナソニックHD<6752>が大きく上昇した。月次動向が好感された大東建託<1878>は一時大幅高も伸び悩んで小幅高にとどまった。
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