6日の米株式市場でNYダウは318ドル高と4日続伸し、連日で過去最高値を更新した。
週間の新規失業保険申請件数が予想以上に減少し、景気回復への期待が高まった。一方で長期金利が伸び悩んだため、ハイテク株比率の高いナスダック総合指数も5日ぶりに反発した。しかし、国内ではコロナ禍を受けた緊急事態宣言が31日まで延長され、新たに愛知県と福岡県も加わる見通しとなったことから、本日の日経平均は売り買いが交錯して前日終値近辺でスタート。朝方に一時29237.36円(94.01円安)まで下落すると、前場中ごろには一転して29449.86円(118.49円高)まで上昇する場面があり、その後29400円近辺でもみ合う展開となった。
個別では、東エレク<8035>やレーザーテック<6920>といった半導体関連株が堅調。
ともに連休前に発表した決算に対する反応は売りが先行したが、内容については評価する向きが多いようだ。ソフトバンクG<9984>は小じっかり。前日の決算発表銘柄ではアウトソシング<2427>やミスミG<9962>が買われ、マークラインズ<3901>やインソース<6200>は東証1部上昇率上位に顔を出している。一方、任天堂<7974>が売買代金トップで2%超の下落。今期減益見通しを嫌気した売りが優勢となっている。ソニーG<6758>は3日続落し、ファーストリテ<9983>や日本電産<6594>もさえない。また、やはり今期減益見通しのヒロセ電<6806>が急落し、東証1部下落率上位に顔を出している。
セクターでは、保険業、海運業、食料品などが上昇率上位。一方、その他製品、陸運業、証券などが下落率上位だった。東証1部の値上がり銘柄は全体の81%、対して値下がり銘柄は16%となっている。
米NYダウの連日の高値更新を好感し、本日の日経平均もプラス圏で前場の取引を終えた。新型コロナワクチンの普及が進む米国では市場の想定以上に雇用が改善しており、当面の世界経済のけん引役として期待が膨らむところだろう。ただ、NYダウと比べるとやはり日経平均の伸びは鈍い感がある。日本はと言えば感染第4波のただなかであり、政府は本日、緊急事態宣言の延長・拡大を決定する。こうした感染・ワクチン普及状況の違いが日本株の上値が重い大きな理由であることは間違いないだろう。また、日経平均の日足チャートを見ると、各種移動平均線が29000円台に収れんし、とりわけ29400円台に位置する25日移動平均線を上回る場面では伸び悩む展開が続いている。短期志向の投資家から目先の利益を確保する売りが出やすいものと考えられる。
なにより、米景気の回復期待とインフレ加速への警戒感が交錯するなか、今晩発表される4月雇用統計の内容や市場反応を見極めたいという思惑が強いのだろう。本日ここまでの東証1部売買代金はおよそ1兆2000億円と、前日ほどは膨らんでいない。
米アトランタ地区連銀のボスティック総裁は6日、4月の雇用者数の増加が前月比100万人以上になるとの見通しを示した。3月(同91.6万人増)から伸びが一段と加速するとみられている。それだけにある程度強い内容は想定内とも言え、「内容より市場の反応を注視したい」といった市場関係者の声も聞かれる。また、ボスティック氏は量的緩和縮小の議論を開始するには一段の雇用拡大が必要とも述べているが、雇用統計の内容次第ではインフレ加速の思惑を交えつつ金融政策が修正を迫られるとの見方も出てくるだろう。
米連邦準備理事会(FRB)は物価・雇用目標達成に向けた「さらに著しい進展」が緩和縮小の条件としているが、雇用の強い改善が見られてもなお腰が重ければ、「インフレ加速の懸念を放置している」とみなされる可能性はある。
ことほどさように今回の米雇用統計に対する市場の反応は読みにくい。それに、国内では花王<4452>や日本製鉄<5401>、三菱商事<8058>などが決算発表し、ファーストリテは4月の国内ユニクロ既存店売上高を公表する。後場の取引は一段と様子見ムードが強まりそうだ。
(小林大純)
<AK>
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