27日の米株式市場ではNYダウが続伸し、108ドル高となった。トランプ大統領が12月1日の米中首脳会談で交渉に進展が見られない場合、中国からの全輸入品に関税をかけるなどと発言し、米中貿易摩擦への懸念から売りが先行。しかし、クドロー国家経済会議(NEC)
委員長が全ての事務方が中国と綿密に交渉を行っているなどと発言すると下げ幅を縮小し、引けにかけて上昇に転じた。為替も1ドル=113円台後半と円安推移しており、本日の日経平均はこうした流れを好感して84円高からスタートすると、朝方には一時22176.98円
(224.58円高)まで上昇し、その後も堅調な展開となった。
個別では、指数寄与度の大きいファーストリテ<9983>が3%近く上昇したほか、任天堂<7974>、ユニファミマ<8028>、SUMCO<3436>も堅調ぶりが目立った。ソフトバンクG<9984>や武田薬<4502>は小じっかり。美容用の人工皮膚を製品化すると発表した花王<4452>は4%超高。また、抗精神病薬「ラツーダ」の米特許侵害訴訟で和解が成立したと発表した大日住薬<4506>が急伸し、東証1部上昇率トップとなった。一方、トヨタ自<7203>、三菱UFJ<8306>、日産自<7201>などが軟調。決算発表のDyDo<2590>や転換社債型新株予約権付社債(CB)の発行を発表したシップHD<3360>も売られた。また、ティア<2485>などが東証1部下落率上位に顔を出した。セクターでは、海運業、医薬品、情報・通信業などが上昇率上位。半面、空運業、輸送用機器、鉄鋼が下落率上位だった。
今週末に控える米中首脳会談で通商問題を巡り何らかの合意が得られるとの期待が高まり、日経平均は連日で3ケタの上昇となっている。日足チャートを見ると、前日に25日移動平均線を上抜け、本日は節目の22000円を上回ってスタートしたため、短期的なリバウンド継続に期待した買いが入っているものとみられる。市場では海外投資家による株価指数先物への買いが観測されており、指数寄与度の大きいファーストリテの上げも目立つ。日経平均は75日移動平均線の位置する22500円レベルまで戻りを試す場面も出てくる可能性がある。
ただ、米国でアップルやフェイスブックといった主要ハイテク株の下落が続いていることなどは注意深く見ておきたい。また、今晩はパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長の講演が予定されており、今後の利上げペースを探るうえで発言内容が注目されるだろう。市場では早期の利上げ打ち止めに期待する向きが増えているが、継続路線が強調されればハイテク株を中心に株価の下押し要因となる可能性がある。
(小林大純)
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