名実ともに8月相場入りとなった1日の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比975円安の3万8126円と急反落。前日は日銀金融政策決定会合の結果がサプライズを伴う追加利上げだったにもかかわらず、後場に切り返し570円あまりの上昇をみせたことでヤレヤレムードが漂った。しかしそれも束の間、きょうは円高進行と合わせた怒涛の売り攻勢で日経平均は一時1300円以上の下げに見舞われた。これまでハト派色を際立たせていた植田日銀総裁のタカ派への宗旨替えは、タイムラグを置いて株式市場上空に暗雲を引き寄せている。ただ、ドル・円の1ドル=150円割れと言っても、これは3月中旬以来であり年初からみれば、まだ大分円安である。3月中旬の日経平均は3万9000円台後半から4万円近辺に位置していた。その意味では、直近の下げはやや過剰に反応しているともいえるのだが、問題は日銀が利上げマインドに変わってしまったということである。
きょうは午後1時25分に発表されたトヨタ自動車<7203.T>の決算発表に市場関係者の視線が集中した。株価は朝方から軟調に推移していたが、決算発表直後は瞬間的に上に振れて2800円台に乗せる場面があったものの、間髪入れず売りが浴びせられて下値を探る展開に変わり、一瞬にして2700円近辺の大台攻防へと舞台が回った。結局2700円台をギリギリ割り込み下落率は8.5%弱に達した。同社にとって7月は受難の相場だったが、8月も出足から大陰線でスタートする形となってしまった。
同社がこの日発表した25年3月期第1四半期(24年4~6月)決算は、営業利益が前期比17%増の1兆3084億6200万円と2ケタ増益を確保し過去最高を更新した。事前のコンセンサスには若干未達となったが、そこまで嫌気される決算内容ではなかったはずである。しかし、期待されていた通期計画の上方修正を見送ったことから売りの砲火を浴びた。これは前日の米国株市場で引け後に決算発表を行ったアーム・ホールディングス<ARM>が、好調な内容だったにもかかわらず、通期業績予想を増額しなかったことが嫌気されて時間外で急落したパターンとも似ている。
トヨタの場合、通期の想定為替レートをいくらに設定するかが注目ポイントともなっていた。同社に先立って7月25日に4~6月期決算を発表した日産自動車<7201.T>のケースでは、営業利益が前年同期比99%減という衝撃の決算内容で、25年3月期通期の営業利益も6000億円から5000億円(前期比12%減)に1000億円も減額した。この時に通期想定為替レートを1ドル=145円から155円に大きく円安方向に修正したことが話題を呼んでいた。ドル・円相場の実勢は見ての通り既にそこから5円も円高に振れている。1000億円の減額では済まないのではないかという懸念が広がる。
そして、トヨタも想定為替レートを日産同様に大幅に円安方向に修正するのではないか、という思惑が市場には漂っていた。しかしトヨタは今回の決算発表で、通期想定為替レートを前回と同じ1ドル=145円で動かさなかった。そこは評価していい部分だが、株式市場はひとたび潮流が発生するとどうあがいても流されてしまうことが多い。決算プレーも注目度の高い銘柄の場合、決算を跨ぐ前にあらかじめ方向性が決められてしまっているような時がある。総合的な評価をせず、ウィークポイントに焦点を当てる。表現は悪いが難癖をつけて売り叩くような相場で、これは全体相場の流れの悪さも示唆している。
トヨタについては国土交通省が前日に一連の認証不正問題を巡り、再発防止を求める是正命令を出している。偶然とはいえ、売られる方向に流れが向いてしまっている。今後同社の辛口の想定為替レートを更に突き抜ける円高に見舞われる可能性もあり、値ごろ感にほだされての押し目買いも現状はまだリスクがありそうだ。
あすのスケジュールでは、7月のマネタリーべースが朝方取引開始前に日銀から開示されるほか、午前中に3カ月物国庫短期証券の入札が行われる。また、後場取引終了後に7月の財政資金対民間収支が発表される。なお、国内主要企業の決算発表では、JT<2914.T>、イビデン<4062.T>、エーザイ<4523.T>、任天堂<7974.T>、三井住友フィナンシャルグループ<8316.T>などが予定されている。海外では7月の米雇用統計に対するマーケットの注目度が高く、このほか6月の米製造業受注も発表される。また、この日はシェブロン<CVX>の決算が発表される。(銀)
出所:MINKABU PRESS
きょうは午後1時25分に発表されたトヨタ自動車<7203.T>の決算発表に市場関係者の視線が集中した。株価は朝方から軟調に推移していたが、決算発表直後は瞬間的に上に振れて2800円台に乗せる場面があったものの、間髪入れず売りが浴びせられて下値を探る展開に変わり、一瞬にして2700円近辺の大台攻防へと舞台が回った。結局2700円台をギリギリ割り込み下落率は8.5%弱に達した。同社にとって7月は受難の相場だったが、8月も出足から大陰線でスタートする形となってしまった。
同社がこの日発表した25年3月期第1四半期(24年4~6月)決算は、営業利益が前期比17%増の1兆3084億6200万円と2ケタ増益を確保し過去最高を更新した。事前のコンセンサスには若干未達となったが、そこまで嫌気される決算内容ではなかったはずである。しかし、期待されていた通期計画の上方修正を見送ったことから売りの砲火を浴びた。これは前日の米国株市場で引け後に決算発表を行ったアーム・ホールディングス<ARM>が、好調な内容だったにもかかわらず、通期業績予想を増額しなかったことが嫌気されて時間外で急落したパターンとも似ている。
トヨタの場合、通期の想定為替レートをいくらに設定するかが注目ポイントともなっていた。同社に先立って7月25日に4~6月期決算を発表した日産自動車<7201.T>のケースでは、営業利益が前年同期比99%減という衝撃の決算内容で、25年3月期通期の営業利益も6000億円から5000億円(前期比12%減)に1000億円も減額した。この時に通期想定為替レートを1ドル=145円から155円に大きく円安方向に修正したことが話題を呼んでいた。ドル・円相場の実勢は見ての通り既にそこから5円も円高に振れている。1000億円の減額では済まないのではないかという懸念が広がる。
そして、トヨタも想定為替レートを日産同様に大幅に円安方向に修正するのではないか、という思惑が市場には漂っていた。しかしトヨタは今回の決算発表で、通期想定為替レートを前回と同じ1ドル=145円で動かさなかった。そこは評価していい部分だが、株式市場はひとたび潮流が発生するとどうあがいても流されてしまうことが多い。決算プレーも注目度の高い銘柄の場合、決算を跨ぐ前にあらかじめ方向性が決められてしまっているような時がある。総合的な評価をせず、ウィークポイントに焦点を当てる。表現は悪いが難癖をつけて売り叩くような相場で、これは全体相場の流れの悪さも示唆している。
トヨタについては国土交通省が前日に一連の認証不正問題を巡り、再発防止を求める是正命令を出している。偶然とはいえ、売られる方向に流れが向いてしまっている。今後同社の辛口の想定為替レートを更に突き抜ける円高に見舞われる可能性もあり、値ごろ感にほだされての押し目買いも現状はまだリスクがありそうだ。
あすのスケジュールでは、7月のマネタリーべースが朝方取引開始前に日銀から開示されるほか、午前中に3カ月物国庫短期証券の入札が行われる。また、後場取引終了後に7月の財政資金対民間収支が発表される。なお、国内主要企業の決算発表では、JT<2914.T>、イビデン<4062.T>、エーザイ<4523.T>、任天堂<7974.T>、三井住友フィナンシャルグループ<8316.T>などが予定されている。海外では7月の米雇用統計に対するマーケットの注目度が高く、このほか6月の米製造業受注も発表される。また、この日はシェブロン<CVX>の決算が発表される。(銀)
出所:MINKABU PRESS
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