「16500円の窓に突っ込む展開か」
注目のメジャーSQは18119.49円で決定。大波乱とはならず、無難な結果に収まった。SQに絡む売買は1930億円超の買い越し。それだけ大量に売りを出す投資家がいたということであり、相変わらず日本株に対する風当たりが強いことがうかがえる。メジャーSQという滅多にないチャンスを狙って、外国人投資家が主力株中心に売りを出してきたということになる。持続的な株価下落を予感させる出来事であり、今後も相場は軟調な値動きを強いられそうだ。
日経平均の日足チャートでは、上影陽線が出現。底固い値動きであると同時に、上値の重さを示している。値動きが小幅だったことで、「嵐が過ぎ去った」というイメージ。それでも来週は重要なイベントを控えており、再び乱高下が始まる可能性は十分にある。
来週の重要イベントといえば、やはり日米の金融政策決定会合であろう。日銀は9/15(火)に金融政策の結果発表、米FRBは17日(木)にFOMCの結果発表を行う。筆者の予想では、両方とも「ゼロ回答」であり、政策は“現状維持”となるだろう。
市場では日銀の追加緩和が期待されているが、現状、量的緩和は限界に達している。日銀は実質的に新発国債の大半を買い取っており、買うものがほとんどない。「それならETF、REITを買えばいいじゃないか」と思うかもしれないが、国債に比べたら市場規模は小さい。ただでさえ「鯨」と言われているのに、今度は水溜りのなかで暴れようとするのか。これでは水溜りがあまりにも可哀想だ。
だから、日銀は引き受ける国債が増えるまで「待ちのスタンス」となる。いずれ財政赤字が悪化し、国債を増発しなければならないときに、追加金融緩和を正々堂々と実行することになるのだろう。
では、アメリカはどうなるのか。これも「利上げ見送り」と考える。そもそも、アメリカは利上げをできる立場にない。なぜならば、実質的に経済が停滞するなか、定常的に財政赤字を抱えているからだ。再び債務上限問題に直面したとき、その引き受け手が必要となっている。最近、中国は元買い・ドル売り介入のために、米国債を手放す傾向にある。最終的な引き受け手は、日本もしくはFRBとなっており、それがQE4という形で実現されるのだ。日本の場合は、現状、ドル買い・円売り介入の必要性はない。だから、FRBがひとりで支えるしかないのだ。そうでないと米長期金利が急上昇してしまう。それを彼らがもっとも恐れているのである。
そういう展開を想定すると、マーケットは火曜日の日銀金融政策決定会合でちょっと失望売り。木曜日の米FOMCでは「利上げ見送り」となり、円高・ドル安が進行。これも株価にマイナスの影響を与えるだろう。問題なのは、その付近に安保法案の参院採決、場合によっては「60日ルール」を使って衆院での再採決も十分に考えられることだ。「数の論理」で自民党は乗り切ろうとしているが、国民の反発は根強い。政権支持率の急低下も予想されるだけに、「アベノミクス」にとっては受難の展開となりそうだ。その間にも中国株がズブズブと下落。郵政がらみの換金売りも時価総額上位組に出て、全体相場を押し下げそう。日経平均は16500円の窓に向けて、もう一発下落することになりそうだ。